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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第108章
その翌週末。
11月5日(金)~7日(日)。
北海道の真駒内積水ハイム アイスアリーナでは、双子にとってのグランプリシリーズ第2戦、NHK杯が行われていた。
男女シングル 各9名、ペア・アイスダンス 各8組のエントリーの為、試合スケジュールはタイトでコンパクト。
さすがにクリスのSPに付き添えず。
夕方から始まった男子の試合が行われている最中、会場入りしたヴィヴィは、ゆっくりと身体を温めていき。
更衣室へ移動して、SPの衣装に着替える事にした。
割り当てられたロッカーから取り出したのは、SPの衣装。
振付をしてくれた宮田と、モダンダンサーの平林素子の意見を取り入れて、デザインされたそれ。
「………………」
肌を露出し過ぎない様に用いられる、肌色の肌襦袢を見つめながら、ヴィヴィは思い出していた。
8月半ば、ドバイへ家族旅行に行ったヴィヴィは、日焼け止めをしこたま塗っていたにも関わらず、日焼けしてしまった。
元が白いので、薄っすら肌色になっただけなのだが。
皆にも「健康的になったね」と褒められたので、ヴィヴィも気にしていなかった。
だが、旅行前から衣装の縫製に入っていた為、出来上がって来た衣装の肌襦袢の色と、ヴィヴィの肌色が合わ無いという事態になってしまった。
ヴィヴィの衣装作りのポリシーは、 “最低限、肌と肌襦袢の色を合わせる事” だったので、焦りまくり。
で、匠海に相談したところ、
『俺に任せておきなさい』
との頼もしい返事が返ってきた。
そんなこんなで、翌日からの添い寝の際に、結構値の張る美白化粧水を、兄の手ずから塗られることになったのだが。
(……今、その事を思い出すのは、止めよう……)
如何わしい妄想に、突入してしまいそうだから。
金色の頭をぶんぶん振ったヴィヴィは、衣装を着こんだ。
ホテルで化粧とヘアセットは済んでいるが、メイクの最後の仕上げをして貰う為に、ジュリアンの元へと向かえば。
何故だか楽しげなジュリアンは、廊下の椅子に腰掛けた娘の白い頬に、真っ赤なチークを乗せていく。