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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第108章          

 ぴたりと止まったかと思えば、顎を上げた澄ました仕草で、左腰に左手を添え。

 右腕はまるで投げキスをする様に、肘から先がかくかくと動き。

 右脚は腰の高さまで持ち上げた膝を、ぴんと爪先まで真横へ伸ばし、その反動で右へと移動する。

 ゼンマイ人形の様に踊ったかと思えば、またすぐに3連続の右回転ディフィカルトターン。

 徐々に人間らしく踊り始めたヴィヴィは、上半身も大きく使い、残りのステップを踏み終える。

 ピアノが第二主題を提示する中、レイバックスピンを回り切り。

 ヴァイオリンが第二主題を引き継いだところで、演技は後半へと突入する。

 固い木琴の音色に煽られる様に助走に乗り。

 物悲しい音色に覆われた氷上に、3回転ルッツ+3回転トウループを描く。

 静かになったリンクに揺蕩う、クラリネットとオーボエによる第一主題。

 最後のジャンプ――ステップからの3回転フリップを決めたヴィヴィに、音楽を掻き消すほどの拍手と歓声が巻き起こる。

 ピアノが鮮やかに掻き鳴らされる中、フライング・チェンジフットスピンを回り切る。

 チェンジフット・コンビネーションスピンで、多彩なポジションと、足替えをしてもスピードが落ちない技術、をジャッジにアピールし。

 木管楽器が細かな不協和音で支える中、金管楽器の息の短い蛍光色の煌めき。

 金管のアクセントに従い、その場でぽんぽんと両脚で飛び上がったヴィヴィ。

 少し高飛車にも映るその表情は「弱い男は、お呼びじゃないの」とでも言いたげで。

 スピードを上げて、助走を付け。
 
 後ろにだらりと(だらしなく見える様に)反り返ったイナバウアーからの、バレエジャンプを跳び。

 フリーレッグと上体を風車の用に旋回させる、ウィンドミル・スピンをその場で回る。

 変拍子に聞こえる不規則なアクセントに合わせ、またその場で不恰好に跳ねると。

 最後のトランペットによるファンファーレ。

 魔術師の魔法が切れた藁人形は、両足を180度開脚しながら、ぺたりと氷面に落下し。

 だらりと両腕を伸ばしたまま、うつ伏せになって息絶える。

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