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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第108章          

 兄の言葉ひとつで、ふるりと華奢過ぎる躰を震わせたヴィヴィに、匠海がとどめとばかりに囁いてくる。

「言ってごらん……? 「悪い子のヴィヴィに、お仕置きして」って」

「…………、痛い、コト……。する、の……?」

 恐るおそる尋ねたヴィヴィの表情は何故か、少し脅えたそれで。

 その小さな顔を覗き込んでいた匠海は、ぎゅうと愛おしそうに抱き締める。

「馬鹿……。お前には気持ちいいことしか、しない」

「……じゃあ、し、て……?」

「ん?」

「ヴィヴィ、に、お仕置き……? して……?」

(ヴィヴィ、そんなつもりなかったけど……。たぶん、お兄ちゃんは今先生に、ちょっとやきもち、焼いちゃったんだよ、ね……?)

 白砂の前で、兄をべた褒めしていたヴィヴィの、どこに悪い点があったのか、自分ではよく判らないが――。

 大好きな兄を不快にさせてしまったのだとしたら、ヴィヴィは何としてもその誤解を解きたいし、気持ちを楽にしてあげたかった。

「…………っ はぁ……、可愛い……」

 どうやらヴィヴィのおねだり(?)がツボに入ったらしい匠海は、そう掠れ声で発すると。

 妹の躰を横抱きし、自身の寝室へと運び込んだ。

「おにぃちゃん……っ おにぃちゃ……ぁん」

 まるで泣き声の様に、兄を呼ぶ妹の声。

 それに、いつも以上に興奮した匠海は、なかなかその躰を手放す事が出来なかった。





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