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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第108章          

「……今先生と、契約してるのは、ヴィヴィ、だよ……?」

 ヴィヴィ名義で契約をし、自分がCM等で稼いだお金からレッスン料を支払っている。

 全ては、大好きな楽器演奏を上達したい一心と。

 音楽を学ぶ事により、明らかに広がりを持つ自分のスケート――その付加価値を期待して。

 けれど、匠海は全く聞く耳を持たなかった。

「知っている。今度は、俺が契約して俺が雇う。ヴィクトリア……、お前はまだ18歳なんだぞ? もっと周りに甘えなさい」

「………………」

「いいね? 講師が見つかるまでは、俺が練習見てやるから」

 やや強い口調で、そう話を締め括った匠海。

 シャンパンを飲み下す兄の隣で、ヴィヴィは固まっていた。

 匠海のその主張は、ヴィヴィには許容出来なかった。

 白砂の見目が良いから、兄は気に食わない。

 たったそれだけの理由で、首にするのか。

 ヴィヴィからしたら、本当に下らない理由で――。

「……お兄ちゃんは、ヴィヴィのこと……。信じられないんだね……?」

 沈黙ののち。

 掠れた声でそう呟いたヴィヴィの心中は、途轍もない悲しみに満ちていた。

「……そういう訳じゃない」

 兄のその言い分に、

「じゃあ、どういう訳?」

 ヴィヴィは説明を求める。

「………………」

 けれど、匠海は明確な答えをくれなくて。

 ナイトウェアをくしゅりと握り締めたヴィヴィは、必死に目の前の匠海を見つめて続ける。

「ヴィヴィ、は……。ヴィヴィは、お兄ちゃんしか見てない、よ……? どんなにイケメンでも美形でも面白い人でも、そう思ってもそれだけで、“男性として” 好きになったりしないもん……」

 そりゃあ、そうだ。

 そんな簡単に他の男が好きになれるのならば、ヴィヴィは今まで、一体何の為にこんなに苦しんできたというのか。

「………………」

 自分の心の中を言葉にした妹に対し、兄は何も返してはくれなくて。

「やっぱり、ヴィヴィが信じられないんだ……」

 ちょっと優しくされただけで、構われただけで、ほいほい他の男に靡く様な女だと。

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