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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第108章          

 ちゅうっとおでこに落とされたキスで、兄の胸から顔を上げたヴィヴィに、匠海は困り果てた様子で吐露した。

「はぁ……、ごめん。俺、もしかしたら……独占欲、強いほうなのかも……」

 その言葉が、匠海の本心なのはすぐ分かった。

 けれど――、

「………………」

(……え゛ぇ……。てか……今頃 気付いたの……?)

 ヴィヴィはかなり前から、兄の独占欲の強さには気付いていた。

 躰だけの関係だった間も、匠海は絶対にヴィヴィが他の男を見ないよう、仕向けていたし。

 妹が無反応なのに気付いた匠海が、

「お前……今、「今頃、気付いたの?」って思っただろう?」

「オ、オモッテナイヨ?」

 兄の突っ込みに焦って答える妹。

「……っ カタコトなんだよっ」

 悔しそうな表情を浮かべる匠海に、ヴィヴィはゆっくりと唇を近付ける。

「……ヴィヴィを、独占したいの……?」

 兄の大き目の唇すれすれの所で、そう囁けば。

「したい」

 自分の誘惑にあっさり乗ってきた匠海に、ヴィヴィはうっとりと灰色の瞳を細める。

「じゃあ、して……?」

「ん?」

 絶対に判っている癖に煽ってくる匠海に、ヴィヴィはぷうと膨れ。

 けれど、兄の耳元に唇を寄せると、

「仲直りのえっち、しよ……?」

 恥ずかしがりながらも、そう直接的に匠海を誘った。

「昨日、あんなにしたのに?」

 兄の意地悪な返しに、ヴィヴィの頬が瞬時に朱に染まる。

 けれど、今日のヴィヴィは引き下がりたくなかった。

 今すぐ匠海と繋がりたい。

 言葉だけでなく、躰でも解り合って、仲直りしたかった。

 たった10分くらいの喧嘩、だったけれど――。

 初めて経験した恋人との喧嘩は、それだけヴィヴィを不安にさせた。

「……~~っ え、えっちな子で、ごめんなさい……っ」

(あ、呆れないで……?)

「馬鹿。前にも言っただろう? 俺は毎日お前を抱きたいぐらいだって」

 そう苦笑した匠海に、ヴィヴィは真っ赤な顔で唇を窄める。

「ん……。お兄ちゃんは、ヴィヴィの何十倍も、えっちなの……」




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