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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第108章          

 寝室に運ばれたベッドの上で、

「カーテン、開けたままする」

「絶対に無理っ 誰かに見られるもん!」

 とやり合った兄妹。

 結局、

「このビルより高いビル、周りにないじゃないか。ヘリでも飛んで来ない限り見える訳ない」

 その兄の言い分に丸め込まれたヴィヴィは、

「じゃ、じゃあ、レースのカーテンは、して……?」

 と譲歩したのだった。

 ベッドサイドのランプだけ灯した暗い寝室。

 そこには、ちゅっちゅっと、可愛らしいリップ音が下りていた。

 ベッドと触れ合った壁に上半身を預けた匠海に、軽く覆い被さったヴィヴィが、薄い唇で兄の躰を啄んでいく。

「ヴィヴィも、する……」

 いつも兄にばかり気持ち良くして貰っているので、ヴィヴィがそう強請ったのだ。

 と言っても、貧弱な性知識のヴィヴィには、匠海の愛撫を真似るしか能がなく。

 首元から順に啄んだり舐めたりする妹に、匠海は笑いを噛み殺し、くすぐったさに耐えていた。

「もうっ 笑っちゃ、だめっ」

 胸の尖りをぺろぺろしていたヴィヴィは、上から降ってくる忍び笑いに頬を膨らませる。

「だって、ははっ くすぐったいんだよ」

 そう正直に発した匠海は心底楽しそうで、ヴィヴィはそれはそれで嬉しいが。

(なんか、悔しいなぁ……)

「むう……。じゃあ、これは?」

 舐めていた乳首にちゅうと吸い付いたヴィヴィは、女性のそれよりかなり小さな乳頭を、カリっと甘噛みしてみる。

「…………っ」

 息をのむ気配を感じ、ちらりと上目使いに兄を伺えば、

「Kitty(にゃんこ)に、咬まれてるみたいだ……。っていうか、その瞳のほうが、ぞくぞくするよ」

 胸に吸い付く妹の頭を撫でながら、にやりと嗤われ、

「むう……。もう、いいもん」

 拗ねたヴィヴィは、兄に快楽を与えるのは早々に諦め、自分が触れたい場所に思う存分触れる事に方向転換した。

 匠海だけの香り――落ち着きと切なさを感じさせてくれる首筋。

 少し骨ばった顎のライン。

 美しい曲線を描く胸筋。

 6つに割れた腹筋。

 それぞれを掌全体で触れて確かめ、舐めて味わい、ちょっと抓ってみたりもして。

 張りのある肌、その下の逞しい筋肉を感じるだけで、もうヴィヴィの心はときめく。

(えへへ、幸せ……♡)

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