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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第5章
自然に妹の肩に腕を回し、自分に引き寄せる双子の兄を見上げ、
「そっか、七夕で『星繋がり』なんだね?」
そう尋ねると、クリスは首肯した。
「クリスは願い事、何て書いたの?」
興味津々な表情で探りを入れたヴィヴィだったが、
クリスは結局「Secret……」と言って、教えてはくれなかった。
カランコロンと予鈴が鳴り、皆がぱらぱらと教室に戻り始める。
ヴィヴィは皆が忘れ物をしていないか、確かめる為に最後まで残っていたが、
周りに人がいなくなった笹の葉を見上げ、微笑んだ。
(今年のヴィヴィの『願い事』……。叶いますように――)
「ヴィヴィ~? 置いてくよ~?」
親友が付いて来ていないことに気づいて戻って来たカレンに声を掛けられ、
ヴィヴィは「うん!」と頷き、踵を返して教室へと戻った。
誰もいなくなった講堂前のラウンジに、空いたままの窓から風が吹き込む。
しゃらりと涼しげな音を立てて、葉を揺らした笹の間から、1枚の短冊が覗いた。
『大切な人と ずっと一緒に いられますように ―― Victoria』
君(星)が生まれたとき
神様はいくつかの力を授けてくれたよ
そのひとつが
夢をかなえる力なんだよ
星に願いをかけるなら
君がどんな人だって構わない
心から願う その気持ちは きっと叶うんだよ
一生懸命夢みているなら
どんな願いでも叶うんだよ
星に願いをかけるなら――
夢みる人がそうするように
運命は優しく、誰かを愛する人の願いを叶えるだろう
密かに望む甘い願いを
予期せぬ稲妻のように
運命はあなたに訪れる――
星に願いをかけるなら
あなたの夢は叶うだろう――