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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第29章
匠海はそう言うと少し首を傾げる。しかしそれも一瞬で、直ぐに悪そうな笑みをその端整な顔にしたためながら口を開いた。
「ふ~ん……」
「な、なあに……?」
おどおどと背の高い匠海を上目使いに見上げるヴィヴィを、腕組みをした匠海が見下ろしてくる。
「ヴィヴィってさ……本当に俺のこと、好きなんだな……?」
「…………?」
ヴィヴィは匠海の言葉の意味を咄嗟には理解出来ず、小さく首を捻る。
(ヴィヴィがお兄ちゃんのこと、本当に、好き――?)
頭の中で匠海の言葉をなぞったヴィヴィは、数秒後、声にならない悲鳴を上げた
「――――っ!?」
(え……うぇえええ――っ!?)
匠海からのまさかの発言に、ヴィヴィは大きな灰色の瞳をさらに大きく見開いて絶句した。しかし目の前の匠海は自分の意見に自信満々のていでさらに追及してくる。
「な? そうなんだろ?」
「な……――っ!? 何、言って、お兄ちゃんっ!?」
(な、なんでっ!? なんで、ばれちゃったの――っ!?)
ジャンナには一発で見破られてしまったヴィヴィの「禁忌の恋」――けれどヴィヴィはずっとひた隠してきたつもりだった。なのに何故、いつ、どうして、どこから本人である匠海にばれてしまったのか。明らかにしどろもどろとして泣き出しそうな妹の小さな顔を、匠海が腰を曲げて覗き込む。
「そう照れるなって。ヴィヴィはやっぱり『お兄ちゃん子』を卒業できなかったんだな?」
「………………え?」
匠海の言葉に、ヴィヴィは一瞬頭が真っ白になった。
(『お兄ちゃん子』……?)
しかしそんなヴィヴィの気も知らず、匠海は先を続ける。
「まあ……15歳にもなって『お兄ちゃん子』を卒業できないヴィヴィの将来には若干不安が残るけれど、お前は他の15歳よりもお子ちゃまだからな。まだ卒業しなくてもいいんじゃない?」
「―――っ!? ヴィヴィっ! お子ちゃまじゃないもんっ!!」
いつも皆にからかわれている単語に、ヴィヴィは咄嗟に食いついた。
「またまた~~」
神経を逆なでする匠海の馬鹿にしたような言い方に、ヴィヴィは憤慨する。
「ち、違うもんっ! ヴィヴィはただ――!」
「ただ?」