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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第109章
まさに地獄に仏――とでも言う様に、感激しているヴィヴィに、太一は苦笑する。
「だから、タメ口でいいよ?」
「え? そ、それは……、じゃあ、ゆくゆく……」
「うん。おいおいね」
にっこり笑い合った2人だったが、それを遮ったのはノックもせずに扉を開けた円だった。
「あ、ヴィヴィったら、ここにいたのか。ちょっとお兄ちゃん! 妹の親友に手を出すなんて、いい度胸じゃないのっ」
風呂上がりですっぴんの円が、パジャマ姿で仁王立ちになり、太一を睨みつける。
「え? ち、違うよ。熱帯魚を見せてただけだ」
何故か妹にはめっぽう弱い太一が、そう釈明するが、
「ふんっ そんな言い訳通用するか! お兄ちゃんの “くせ” に、ヴィヴィに手を出すなんて、百年早いのよ百年っ!!」
全く聞く耳を持たないどころか、そう兄を落とす円にヴィヴィは「ぶっ」と吹き出した。
「……お前ねえ~……」
片手で額を押さえて唸る太一の傍までずかずか寄った円は、その隣に腰掛けていたヴィヴィの手首を掴む。
「行こ、ヴィヴィ。ってか、お風呂入ってきなよ~?」
「あ、うん。太一さん、ありがとうございました」
円に手を引かれて立ち上がったヴィヴィは、太一に向き直りぺこりと金色の頭を下げる。
「いえいえ。おやすみ」
「おやすみなさい」
にこやかに就寝の挨拶を交わす2人の様子を傍で見ていた円は、何故か「ふんっ」と捨て台詞ならぬ捨て鼻息を置いて、兄の部屋を出て行った。
「……っ なんか、エロイっ」
左隣の円の部屋に戻った瞬間、そう喚いた円に、
「え? な、何が……?」
全く思い当たる節のないヴィヴィは、首を傾げる。
「「おやすみなさい♡」とか、えっちい!」
そう言い募る円は、すっぴんという事もあって、なんだか子供っぽくて可愛くて。
「♡なんて、付けてないもん~」
ぷうと頬を膨らませてみせるヴィヴィ。
その後もきゃっきゃきゃっきゃと、賑やかな2人なのであった。