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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第109章           

 1月5日(水)には、匠海の同伴者として、経済三団体 賀詞交歓会の懇親会に赴き。

 翌日からはヴァイオリンとピアノのレッスンが再開し、その翌日には大学の授業も始まった。
 
 1月8日(土)~9日(日)の2日間。

 STARS ON ICE大阪で、エキシビションのショーに出演し。

 21時前に屋敷に帰宅した双子を、両親と匠海は一緒にディナーを取ろうと待ってくれていた。

 しかし、途轍もない疲労を覚えたヴィヴィは、皆に謝って先に休ませて貰う事にした。

 風呂を使う前に体温を測った主から、朝比奈は心配そうに体温計を受け取る。

「熱は無いようですが、逆にいつもより体温が低いようです。どこか痛いところなど、ありませんか?」

「ううん。ただ、なんか疲れていて……。倦怠感……? まあ、一晩寝れば元気になるよ」

 そう結論付けたヴィヴィは、ゆっくりと湯に浸かり。

 料理長が用意してくれた、生姜が効いたカニ雑炊を食べて、早々に就寝した。





 翌朝、5時に起床したヴィヴィは、すこぶる元気になっていた。

 白い羽毛布団の中から腕を伸ばし、1分後に鳴る筈の目覚まし時計をオフにする。

 そして、そのすぐ傍に置かれていたカードに気付き、摘まんで上掛けの中に引きずり込んだ。


『 My sweet bambi(私の可愛い小鹿ちゃん)

  久しぶりに 可愛い寝顔が見られた

  毎日忙しく 色んな事に挑戦するお前は

  私達の誇りだけれど

  ちゃんと 自分の身体と心を

  労わる時間も取りなさい

  愛しているよ

  ダッド より 』


『 明日の練習は 午後からになさい

  最近 寒暖の差が激しいし

  疲れやすくなっているのかもね

  マム & コーチ より 』


『 ヴィヴィ

  疲れてるの 気付いてあげられなくてごめんね

  ゆっくり休んで

  お兄ちゃん失格のクリスより 』


 大きなカードに書かれていたのは、両親と双子の兄からの心のこもったメッセージ。

 昨夜、皆がお見舞いに来てくれたらしいが、泥の様に眠っていたヴィヴィは、全く気付けなかった。

 直筆のそれらを何度も読み直したヴィヴィは、もぞもぞとベッドから這い出る。

 どうやら自分は、レッスンは夕方からになっている様で、朝比奈も起こしに来ない。

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