この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第109章
えらの張った傘をぺろりと舐めれば、舌を押し返すのは筋肉とは異なる硬い肉の触感。
『アイスキャンディーを舐める様にね』
以前教えられたように、舌全体でぺろぺろと竿を舐め上げていると、男が擦れた吐息を漏らし始めた。
「ぅん゛……、……はぁ……っ」
起きてしまったらすぐにこれを取り上げられると思い、少女はぱくりと小さな口の中に銜え込んだ。
歯を立てぬよう気を配りながら、大きな亀頭を舌で愛撫し、唇を窄めてちゅうと吸い上げる。
「んぅ……っ ……ん……?」
零されたのは喘ぎだけではなく、疑問を呈す唸り。
さすがに起きたかと視線を上げれば、男――匠海は切れ長の瞳をしぱしぱさせ、こちらを覗き込んでいた。
「……天国……にいるかと、思った……」
こんな非日常の起き抜け――の第一声が、それで。
大きな掌が下りてきたかと思うと、股間に顔を埋めた金色の頭を、優しく撫でてくる。
「ヴィクトリア……体調は?」
いつまでも己の分身を頬張っている妹に、匠海は少し心配そうに伺う。
もう少し匠海のそれを愛していたかったが、ヴィヴィは渋々 咥えていた亀頭を吐き出した。
自分の唾液に濡れたそれが、ゆらゆらと左右に振れているさまは、何だか艶めかしい。
「……元気、だよ……?」
濡れた唇に張り付いた金の糸を指先で払いながら、ヴィヴィは答える。
「良かった……。で、なんでこんな事をしている?」
兄のその問いは当然のものだろう。
華奢なその躰に纏っているのは、昨年の春まで通っていたBSTの制服。
白シャツ、紺地に赤ラインのタータンチェックスカートにネクタイ。
膝上10cmのスカートから伸びた長い脚には、紺色のハイソックス。
極めつけに紺のリボンカチューシャで、金色の髪を引き立たせている。
「夜這い……? じゃない、寝込みを襲う……?」
自分でも少し不思議そうに呟きながら、ヴィヴィはこてと首を傾げた。