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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第109章           

 えらの張った傘をぺろりと舐めれば、舌を押し返すのは筋肉とは異なる硬い肉の触感。

『アイスキャンディーを舐める様にね』

 以前教えられたように、舌全体でぺろぺろと竿を舐め上げていると、男が擦れた吐息を漏らし始めた。

「ぅん゛……、……はぁ……っ」

 起きてしまったらすぐにこれを取り上げられると思い、少女はぱくりと小さな口の中に銜え込んだ。

 歯を立てぬよう気を配りながら、大きな亀頭を舌で愛撫し、唇を窄めてちゅうと吸い上げる。

「んぅ……っ ……ん……?」

 零されたのは喘ぎだけではなく、疑問を呈す唸り。

 さすがに起きたかと視線を上げれば、男――匠海は切れ長の瞳をしぱしぱさせ、こちらを覗き込んでいた。

「……天国……にいるかと、思った……」

 こんな非日常の起き抜け――の第一声が、それで。

 大きな掌が下りてきたかと思うと、股間に顔を埋めた金色の頭を、優しく撫でてくる。

「ヴィクトリア……体調は?」

 いつまでも己の分身を頬張っている妹に、匠海は少し心配そうに伺う。

 もう少し匠海のそれを愛していたかったが、ヴィヴィは渋々 咥えていた亀頭を吐き出した。

 自分の唾液に濡れたそれが、ゆらゆらと左右に振れているさまは、何だか艶めかしい。

「……元気、だよ……?」

 濡れた唇に張り付いた金の糸を指先で払いながら、ヴィヴィは答える。

「良かった……。で、なんでこんな事をしている?」

 兄のその問いは当然のものだろう。

 華奢なその躰に纏っているのは、昨年の春まで通っていたBSTの制服。

 白シャツ、紺地に赤ラインのタータンチェックスカートにネクタイ。

 膝上10cmのスカートから伸びた長い脚には、紺色のハイソックス。

 極めつけに紺のリボンカチューシャで、金色の髪を引き立たせている。

「夜這い……? じゃない、寝込みを襲う……?」

 自分でも少し不思議そうに呟きながら、ヴィヴィはこてと首を傾げた。

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