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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第109章           

 乱れた息を落ち着ける間、2人はそのままぴったりと抱き合っていたのだが。

「抜いちゃ、やぁ……っ」

 どうやら次は後ろから繋がりたいらしい匠海に、中のものを抜き取られてしまった。

「ん……? バック、嫌か?」

「……今日、は、だっこ……っ」

 そう甘えたヴィヴィに、上半身を起こした匠海は、苦笑しながらまた兄自身を埋めてくれた。

「ほら、食いしん坊さんめ」

「お兄ちゃん……、だっこ」

 自分の空虚なそこを満たしてくれた兄に、ヴィヴィは更に求める。

「ん?」

「ぎゅ……して?」

 自分でも分かっている。

 もう18歳なのに、こんなガキっぽい事ばかり強請る自分は、全然色っぽく無い事は。

 けれど、匠海は呆れるどころか、

「ふ……、おいで」

 そう暖かな声でも、ヴィヴィを包み込んでくれるから。

「ん……。好きぃ……」

「抱っこされるのが?」

 そんな兄のからかいにも、ヴィヴィは囁く。

「ん~ん。お兄ちゃんが、好き」

「俺も」

 その匠海の言葉が適当に聞こえたヴィヴィは、唇を尖らせて兄の顔を覗き込む。

「や……。ちゃんと、言って……?」

「ふ、我が儘娘め……。ヴィクトリア、好きだよ?」

「うん♡」

 満足そうに頷くヴィヴィに、匠海はにやあと悪い笑みを浮かべて続ける。

「可愛らしいおっぱいも、俺が美白を手伝ってあげた真っ白な肌も、貪欲に締め付けてくるナカも、大好きだよ」

「……なんか、やだ……」

 その言われようじゃ、まるで躰にしか興味が無い様に聞こえて、ヴィヴィは瞳を眇めて兄を睨む。

「そうか? じゃあ、お手本見せて?」

 なんだかその匠海の言い様が可愛らしくて。

 ヴィヴィは少し恥ずかしそうに唇を窄めると、おずおずと唇を開いた。

「……ヴィヴィは、お兄ちゃんの、全てが好き……」

「ふうん?」

「ヴィヴィの事なら、何だってお見通しのところも……、さり気なく気を配って、フォローしてくれるところも……」

「そうなんだ?」

 嬉しそうに覗き込んでくる兄に、ヴィヴィははにかむ。

「ん……。優しい瞳で見つめてくれるのも……、からかって構ってくれるのも……、意地悪するところも……好き」

 改まって言葉にすると気恥ずかしくて。

 それを紛らわせるように、薄い唇を兄に押し付けた。

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