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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第109章           

「あはは。ありがとう。じゃあ、俺も」

「ん?」

「俺のヴィクトリアは、誰からも好まれる愛らしさを持っている」

 先程まで悪そうな表情を浮かべていた兄は、そこにはいなくて。

「え……?」

「けれどそれに奢る事無く、いつも周りの人間を楽しませようと、自然と気を配れるところが誇らしい」

「……お兄ちゃん……」

 まさかの兄の真面目な告白に、ヴィヴィは驚いて見つめ返す。

 そんな妹を、匠海は愛おしそうに頭を撫でてあやす。

「ちゃんと、知っているよ。お前が人一倍臆病で、弱虫なこと……。だからヴィクトリアは、人の何倍も努力する事を惜しまない。そうやって、今の強いお前がここにいるんだ」

「……――っ」

 兄の真摯な言葉に、ヴィヴィは絶句した。

(お兄ちゃん……、そんな風に、ヴィヴィのこと、見てくれてたんだ……っ)

 自分の根幹を成すスケートについての賛辞だろう。

 妹の弱さを知った上で、そこまで分かって愛してくれる匠海に、ヴィヴィはもう感激と驚きとでいっぱいになり。

 胸が苦しくて、お礼を言いたいのに言葉にならなかった。

「ってことで、俺がどれだけヴィクトリアを愛しているかを、躰でも教えてあげようね」

 その後も色んな角度から妹を抱いて、悦びを与えた匠海は、

「はい、終わり~~」

 ぽんぽんと妹の細い腰を叩いて、終わりを宣言した。

「……え……?」

 まさかの兄の言葉に、ヴィヴィは戸惑いながらも、時間を確認する。

 ベッドサイドに置かれた時計は、8:30を指していて。

 確かに、あれから3時間近くもセックスしていれば、途中にいちゃいちゃして休憩を挟んだとはいえ、兄も疲れてしまったのだろう。

「ヴィクトリア、夕方からレッスンだろう? これ以上すると、響くぞ?」

「……っ やだっ」

「やだっ て言われても」

 駄々を捏ねる妹に、困った様に笑う匠海。

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