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第109章 　 　　　　 　　　

（だって、まだ、見てないでしょう……？）

　ヴィヴィはそう心の中で問いかけながら、ネクタイをゆっくりと解く。

　しゅるりと音を立てて襟から抜き取り、白いシャツのボタンを上から外していく。

　徐々に露わになる胸元に、兄の視線が注がれているのがありありと解った。
　
　深紅のカップにタックを寄せた白の繊細なレースが配されたブラは、大人っぽさと少女らしさが混在していて、お気に入りのもの。

「ああ、凄く可愛い……。ヴィクトリア」

　白シャツを肩から掛けたまま、ブラの上から掌を這わせてきた匠海を上目使いに見つめると。

　その小悪魔な瞳にやられたように、兄はブラから微かに盛り上がった膨らみに唇を這わせてきた。
　
　何度も下着と一緒に乳房を揉み解されて、カップをずらして露わになった乳首を食まれ、ヴィヴィは堪らなく喘いだ。

「ヴィクトリア……、ヴィクトリア……っ」

　妹の名を連呼しながらシャツを脱がせた匠海は、もう我慢ならないとでも言う様に、ブラのホックも外してしまって。

　カップからまろび出た白い膨らみに、我を忘れたようにむしゃぶりついてきた。

「ひゃうんっ　あ、おにい、ちゃん……っ　きもち、いいの……」

　甘い声音で兄を誘惑するヴィヴィだったが、やはり匠海はもうそれ以上する気配は見せて来なくて。

　執拗に乳房ばかり舐めて虐めてくる匠海の肩を、ヴィヴィは両手でゆっくりと押し返した。

　不思議そうに自分を覗き込んでくる兄の目前。

　ヴィヴィはぺたりと倒していた両膝を持ち上げ、匠海の前で見せつけるように小さな膝頭を左右に開く。

　細く白い指先で金色の薄い茂みを絡めたのち、薄紅色のそこを指先で横へと引っ張った。

　こぷり。

　その淫猥な響きが、朝の寝室に落ち。

　次いで、ヴィヴィは懸命に兄を誘惑する。

「……零れ、ちゃった……」

「………………っ」

　自分から卑猥なそこは見えないが、目の前の匠海がごくりと息を呑んだのは、はっきりと見て取れた。

「……だめ……？」

「駄目、なんかじゃ、ないよ」

　そう呟いた匠海は、まるで淫魔にでも魅入られたように、灰色の瞳を濁らせていた。