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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第109章
乱暴とも思える仕草でシーツの上へ突き飛ばされたヴィヴィは、スカートだけを纏った華奢な躰で、何度も兄を受け止める。
「ヴィク、トリアっ 好きだ……っ」
「お兄、ちゃんっ」
ぎゅぷぎゅぷと鳴り響く、耳を塞ぎたくなる様な粘度の高い姫鳴りに重ね、兄の心の声が鼓膜を震わせる。
「愛してる……っ ずっと、ずっと……っ お前だけだよ」
「……――っ」
最奥を穿たれて、その太い突きに言葉も息も飲み込んで震えるヴィヴィに、匠海は何度もその言葉を繰り返していた。
重い目蓋を開いた先。
睫毛越しにそこに広がる視界に、ヴィヴィは落胆を隠せなかった。
自分は匠海の黒いベッドに寝かされていて、
細過ぎる躰には、暖かな羽毛布団が被せられていて。
でも匠海は、そこには居なくて。
ゆっくりと寝返りを打って時計を確認すれば、時刻は10:00を指していた。
むくりと上半身を起こした途端、脚の付け根を暖かなものが伝っていく感触に、ピクリと唇を震わせる。
上掛けを捲れば、ヴィヴィの金色のそこは、大量の白濁で汚れていた。
「………………」
曇った瞳でそれを見下ろしていたヴィヴィは、ベッドサイドからティッシュを取ると、さっと拭き取り。
少しふら付いた脚で高いベッドから降りると、寝室の隅の一人掛けソファーに揃えてあった制服に手を伸ばした。
開け放たれた扉に佇むヴィヴィに、茶のバスローブ姿の匠海はしばらく気付かなかった。
メールのチェックをしているのか、ノートPCの画面の左から右へと、灰色の瞳が小刻みに移動している。
すっと難しそうに眉が強張ったと思えば、すぐにその強張りは解けて、冷静な瞳に戻る。
そんな兄の姿をぼんやりと見つめているヴィヴィの瞳は、感情の見えないものだった。
要件を済ませたのか、ふっと上がった灰色の瞳が、ノートPCの先に立っている妹にようやく気付く。
「ああ、起きたか。じゃあ、一緒にお風呂入ろうか」
そう促してくる兄の表情と声は明るくて、楽しげで。
「………………」
PCの電源を落とそうと視線を落とす匠海に、ヴィヴィは裸足のまま近付いて行く。