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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第109章           

「書斎にいるお兄ちゃん……、素敵」

 うっとりと見惚れる妹に、兄は面白そうに瞳を細める。

「そう? じゃあ俺、ずっと書斎にいようかな?」

「嘘……。寝室にいるお兄ちゃんが、一番好き」

(だって、ベッドにいるお兄ちゃんは、絶対にヴィヴィ以外を見てないから……)

 けれど、今の匠海の心と躰を、自分にだけ向けさせる方法はある。

 兄の大好きな “えっちなヴィヴィ”。

 それを演じて見せている間は、匠海の瞳は他へは向かない――筈。





 
「……10分、経ったぞ?」

 自分で10分と時間を区切ったくせに、ヴィヴィはべったりと匠海抱き着いたまま、中から押し広げてくれる兄の質量に酔っていた。

「ん……? まだ、イってないもん」

 ぺろっと小さく舌を出したヴィヴィは、シャツに包まれた細い腕を、後ろの書棚へと伸ばしたが。

 結局届かずに、匠海に砂時計をひっくり返して貰う。

「また、10分♡」

 そう可愛らしく喜ぶヴィヴィに、

「強制的にイカせてやる」

 匠海はそう宣言すると、今日何度達したか分からない妹のそこを、巧みな腰使いで翻弄し。

 あっという間に達してしまったヴィヴィは、恥ずかしさも伴って、不服そうに頬を膨らませた。

 視界に入る砂時計は、もう少量しか黒い砂が残っていなくて。

「お兄ちゃん、イってないぃ~~っ」

 ヴィヴィのその主張に、

「じゃあ、あと10分」

 砂時計をひっくり返しそう続けた匠海は、何だか楽しげだ。

「えっち♡」

 悪戯っぽくそう突っ込めば、匠海は片眉を上げてニヒルに嗤う。

「今日のお前には言われたくないな」

「今日のヴィヴィ、えっち……?」

 こてと金色の頭を傾ければ、

「ああ、もう毎日こんなにエロかったら、俺、腎虚で早死にするな」

 己の吐いた台詞に、匠海はくっと失笑した。

「ジンキョ……? って、なあに?」

 初めて聞くその単語に、ヴィヴィは心底不思議そうに兄に問う。

「『お子ちゃま』はまだ、知らなくていいです」

 そう保護者ぶった匠海に、唇を塞がれた。

「ん……、……ふぅん……、んぅ……っ」

 ヴィヴィの高い鼻から、甘えた喘ぎが漏れる。

 互いの舌を絡ませ合うだけで、深く繋がった兄妹の性器も、狂った様に蠢いて。

(あん……、きもち、いいよぉ……っ 蕩けちゃう……)

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