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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第109章
それから1時間後。
目を覚ましたヴィヴィは、白いベッドの中に埋もれていた。
当たり前だが、隣に兄の姿は無くて。
それどころか、兄の残滓も、心乱される香りも感じられなくて。
白いベッドから香るのは、嗅ぎ慣れたリネンウォーターの香りと、自分の肌から香るシャボンの香り。
「………………」
まるで現実逃避するかのように、大きな灰色の瞳が目蓋の陰に隠れる。
(行ったんだ……、お見合い……)
そう心の中で匠海を責めた。
しかし、その直後、
ぐぅ~~~。
ヴィヴィの薄っぺら過ぎる腹から、大音量で腹の虫が鳴き。
「……おなか、すいた……」
そうぼそりと零したヴィヴィは、よろよろとベッドの中から這い出て、寝室を後にしたのだった。