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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第109章           

 1月15日(土)~16日(日)は、先週の大阪公演に引き続き、東京でのSTARS ON ICEへの出演。

 その翌週からは、2週間後に迫った大学の学期末試験に向け、クリスや円のシケプリ(試験対策プリント)作成を手伝い。

 月曜はロシア語家庭教師

 水曜はロマンティック・バレエのレッスン

 木曜はスケート部の練習

 土曜はヴァイオリン&ピアノのレッスン

 慌ただしく毎日を過ごしていると、不器用なヴィヴィは目の前の事を熟す事だけに必死で。

(余計なこと……、考えずに、済む……)

 そう思ってしまう自分は、本当に弱い人間だという事は、分かってはいるのだが。

 そうして始まった、1月31日(月)~2月14日(月)の、2週間に渡る学期末試験。

 日頃から予習復習を怠らないヴィヴィだが、それでもやはり天下の東大――希望の学部に進む為に、上位の成績をキープするのは至難の業で。

 2人の兄達に支えられながら、何とか目標の成績を収める事が出来た。

 バレンタインの翌日から、大学は春休みへと突入し。

 その日の夜、双子は韓国・ソウルへと移動した。

 双子にとっては2度目の出場となる、四大陸選手権。

 アジア、アメリカ、オセアニア、アフリカの4大陸の選手が出場する、国際大会。

 学業とスケートの両立は、やはり困難で。
 
 タイトなスケジュールになると分かっていて、早めから調整していたにも関わらず、ヴィヴィの演技内容は振るわなかった。

 SPは目立ったミス無く1位通過。

 FPで後半のジャンプにミスが目立ち、シーズンベストには遠く及ばず2位。

 総合で1位にはなったもの、後悔が残る試合運びとなった。

(お兄ちゃん……、わざわざ観戦に来てくれたのに。良い滑り、見せられなかった……)

 多忙の身で、ソウルまで駆け付けてくれた匠海。

 きっと、ヴィヴィが心配だったのだろうと思う――色んな意味で。

「………………」

 帰国の途に就く、飛行機のシート。

 窓枠にこめかみをくっ付けながら、真っ暗闇が広がるだけの上空を、ぼんやりと見やる。

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