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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第109章           

 来年の今頃は、もっと大変で。

 学期末試験の途中から五輪が開催される中、団体戦、個人戦を戦い抜き。

 閉会式の3日後には、希望の学部に進む為の試験が控えている。

 極めつけに、その5日後には世界選手権が行われるという――。

(来年の今頃……、ヴィヴィもクリスも、生きてるかどうか……☠)

 そんな弱気な事を思いながら、隣に視線を移せば。

 やはり疲れているのか、マスクをした双子の兄はグースカ寝ていた。

「頑張ろう……ね……」

 いつも助けられてばかりのクリス。

 今回も、試験勉強に、試合会場でのメンタルケアにと、負担を掛けてしまった。

 胸からずり落ちそうなブランケットを掛け直したヴィヴィは、その静かな寝顔を見守る。

 来年の今頃は、彼の隣に普通に立っていられるくらいには強くありたい――そう、心から思いながら。






 四大陸選手権の翌週、2月26日(土)~27日(日)。

 早朝からのレッスンを終えたヴィヴィは、午後から匠海と葉山の別荘で一夜を共にした。

 少し疲れ気味のヴィヴィを休ませたいと、兄は色々と気を配ってくれて。

 けれど、身体の負担にならない程度には、妹の躰を求めてきた。

「ヴィクトリア、これ、着て?」

 そう言って兄が差し出してきた洋服一式に、ヴィヴィは戸惑った。

「え……どうして……?」

 ソファーの背凭れに掛けられたそれは、胸繰りが大きく開いたコルセットベストに、リボンタイが可愛らしいクリーム色のシャツ。

 臙脂のスカートは膝丈で、美しい刺繍が施されたふんわりしたもの。

 一見どこかの民族衣装にも見えるそれは、可愛らしい。

 可愛い――けれど。

「ほら。今季のSPの衣装。物凄く愛らしいから」

 匠海が説明することには、

 ヴィヴィがSP『ペトルーシュカ』で着用している、背中が朱・白・水色のレジメンタルストライプの “朱色のコルセットベスト” が、えらくお気に召したらしく。

 どうしても、それを纏っているヴィヴィを愛でたい――らしい。

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