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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第109章           

 3月26日(土)。

 アイスダンスの マリア 渋谷(22)・アルフレッド 渋谷(26)組が、安定した演技で8位に輝き。

 日本に貴重な2枠を勝ち取った。

 後は、女子FPのみを残すだけ――。

 19:00からスタートしたFP。

 最終グループの1番滑走になったヴィヴィと、同じグループの最終滑走になった宮平 知子(さとこ)は、6分間練習が始まるのを、今か今かとリンクサイドで待っていた。

 ヴィヴィアン・リー(18) アメリカ

 マリア・ソココワ(20) ロシア 

 ユリア・リプニツカ(22) ロシア

 ジ・ジュンリ(24) 中国

 計6名と、彼女達のコーチ陣も入り口に溢れていた。

 iPodでFPの曲をリピートしていたヴィヴィの視界に、緊張気味の宮平が入った。

 すすと後ろから近付いたヴィヴィは、自分より小さな彼女の掌を後ろから取り、繋ぐ。

 びくりとこちらを振り仰いだ宮平の手は、かなり冷たくて。

 片方だけイヤホンを外したヴィヴィは、にかっと笑いかける。

「知子ちゃん、明日のエキシビ終わったら、ジェラート食べに行こう♡」

 実はホテルの斜め向かいに、天然素材にこだわりぬいたジェラート屋さんがあると聞きかじり。

「……へ……? ジェ、ジェラート……?」

 呆気に取られた様子の宮平に、ヴィヴィは「あ゛……」と唸る。

「ジェラートじゃ、身体冷えちゃう? そうそう、トリノはチョコも有名らしいよ?」

 行きの飛行機で読んだ、機内誌の知識を披露して嬉しそうなヴィヴィに、宮平はしばしポカンとし。

「…………ふふっ! そうだねぇ。ジェラート、行こっか?」 

 能天気過ぎるヴィヴィに破顔した宮平は、繋がれた手をぎゅうと握り返す。

「絶対に、3枠、獲る……っ その役に、私も立って見せるから」

 そう発した宮平の声はしっかりとしていて、その白かった頬にも赤みが差し始めていた。

「うん、ヴィヴィも頑張る~っ」

(えへへ。ヴィヴィ、本当に幸せ者。日本チームは皆が良い意味で仲良くて、協力し合えるんだもの)

 へらっと笑ったヴィヴィと、気合の入った笑みを浮かべる宮平。

 互いの手を離した時、最終グループの為のゲートは開かれた。




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