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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第109章           

 最終日の27日(日)に行われた、14:00からのエキシビションの後。

 ヴィヴィをはじめとする日本人選手は、オフィシャルホテルの向かいのジェラート屋さんで、イタリアでの短いプライベート時間を満喫した。

 20:30から始まった、クロージングバンケット。

 レジメンタルストライプのワンピを纏ったヴィヴィと、

 こちらも同じ配色の、細いレジメンタルストライプが背面に施された、ベスト姿のクリス。

 双子のその可愛らしいペアルック姿は、皆に「一緒に写真撮って」攻めをされるほどだった。

 実はこれ――匠海からプレゼントされたもので。

 4週間前。

 葉山の別荘で、妹にコルセットベストを着るようにせがんだ兄は、そのお詫びとしてワンピとベストを贈ってくれた。

 SP『ペトルーシュカ』の “バレリーナ” の衣装として用いている、独特なストライプで作られたそれら。
 
 グレー、スモーキーピンク、紺色の縦縞ワンピは、胸に大きなリボンがついているが、

 光沢のある素材と抑えめの配色で子供っぽくなく、ヴィヴィはとても気に入った。
 
 そしてもちろん――、

 無事、世界選手権から帰国した妹を、匠海は週末にそのワンピ姿で可愛がった。

 トロトロに蕩けさせられて息も絶え絶えのヴィヴィは、ワンピから覗いた細長い両足を閉じる力さえ残っておらず。

 恨めしそうに兄を仰ぎ見るヴィヴィに、匠海はニヒルに嗤いながら濡れた口元を拭った。

「ふ……、大変美味しゅうございました」







 世界選手権から帰国した1週間後。

 横浜で行われる国別対抗戦のリンクサイドで、ヴィヴィはクリスのSPを目に焼き付けていた。

 ストラヴィンスキー作曲、バレエ音楽『ペトルーシュカ』。

 このプログラムを観る事が出来るのも、今シーズンの最終試合である今日が最後。

 この1年間、双子の兄がこのプログラムに、どれだけ苦心してきた事か。

 
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