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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第109章
毎日、添い寝をしてくれる匠海。
兄はいつも愛を囁いてくれるし、ヴィヴィも「好き」と、なるべく言葉にして伝えるようにしてはいるが。
なかなか「愛している」という言葉は、使う機会はそう無くて。
ツンと尖っていた筈の唇が、徐々にむににと横一線に引き伸ばされる。
兄が見合いを始めてから持ち始めた、そこはかとない将来への不安や、微かに芽生えては立ち消える猜疑心。
それを、匠海には絶対に味合わせてはいけないと思う。
兄が不安になったりしないように。
ヴィヴィの気持ちを疑ったりしないように。
何故か、そういう小さな積み重ねが、一番大切な気がした。
そして、
今の自分には、そんな些末な事しか、出来ない気もしていた。
そして新たなシーズンの準備を始める双子は、
4月29日(祝・金)~5月7日(土)を使い、海外へと振付に旅立ったのだった。