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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第110章          

「ヴィヴィのSP『girls』は、本当に可憐で愛らしい曲だから……。FPに全く正反対のものを持ってくるのは、賛成……」

 クリスのその後押しにも、ヴィヴィは自信を持って頷く。

「了解。じゃあ、明日でクリスのSPの振付は終わるでしょうから、明後日からはヴィヴィのFPを振付けましょうね?」

 ローリーのその言葉に、ヴィヴィは気合の入った表情で「はいっ」と良いお返事をしたのだった。






 4月29日(金・祝日)~5月7日(土)の9日間。

 振付はもちろんのこと。

 空いた時間で美術館巡りをし、人種のるつぼであるトロントならではの外国人街巡りを楽しんだ双子。
 
 その間中、妹のべったりくっついて甘えていたクリスは、羽田空港に降り立った途端、いつものクリスに戻った。

 べたべたもしてこないし、甘えても来ない。

 帰りのベンツで、試しにヴィヴィの方からべったりくっついてみたら、

「なに……してるの……?」

 やや呆れ顔で尋ねられる始末。

「……な、何でも無いでしゅ……」

 語尾を噛みながら双子の兄から両腕を離したヴィヴィは、心の中で呟いたのだった。

(むっき~~っっ な、何だったんだ~~っ この9日間はっ!?)






 双子が帰国した翌日、5月8日(日)。

 篠宮邸では、双子と匠海の誕生日パーティーが催された。

 毎度の事ながら、豪華だけれどアットホームに招待客と楽しみ。

「ついに! やっと、19歳っ!! ヴィヴィも一歩ずつ “大人” になってるんだもんね~っ!!!」

と、何故か1人はしゃぐヴィヴィは、やっぱりガキ以外の何者でも無かった。

 そして、その日から篠宮邸に泊まり込んでくれた、関西在住の振付師の宮田。

 平日の4日間を使い、大学から帰宅した双子の振付をしてくれた。

 ヴィヴィのSP : 『girls』 高木 正勝 

 クリス のFP : 『A Song for Chris』 エドワード・グレグソン(英国の作曲家)
 
 ヴィヴィのSPは、平昌五輪に引き続き “オールジャパンメイド” にこだわったもの。

 ピアニスト 兼 作曲家の高木 正勝の曲を、宮田の振付で完成させた。

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