この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第110章
そして何故か、父が嬉々として演出を始めるのを、母が「あ! それいいわねえ」とノリノリで支持し。
目の前で着々と塗り替えられて行く、プログラムの進行。
面白がった匠海まで、色々と演出案を出してきて。
そうこうして出来上がった 篠宮ファミリー・プロデュース『オペラ座の怪人』。
「ま……、いっか……。確かに、これだと面白そうだし?」
そう呟いて双子の兄を見つめたヴィヴィに、
「ん……。お客さんが楽しんでくれれば、もう、それでいいよ……」
クリスも満更でもない様子で、納得したのだった。
5月はとにかく忙しかった。
アイスショーの番宣番組への出演。
スポンサーのCM撮り。
五輪シンボルアスリートとしてのメディアへの露出。
五輪シーズンの為に、各紙・各局からも取材が殺到し。
大学を早退することもしばしば。
それでも絶対に、レッスンの時間は削れない。
振付て貰ったSP・FP、それにエキシビ・双子プログラムも、反復練習して自分のものにしなければならないし。
例年より多忙のスケジュールに、双子は結構いっぱいいっぱいだった。
そんな中、匠海は3回目となるお見合いをした。
5月21日(土)。
早朝からのレッスンから帰宅した頃には、もう匠海は見合いへと出掛けていた。
さっと汗を流したヴィヴィは、最近 おざなりになっていた講義の復習を集中して行い。
愛車で児童養護施設 新緑寮へと向かった。
当初は、父の会社の篠宮グループの社員ボランティアと伺っていたのだが。
ここの所は互いにスケジュールが合わず、ヴィヴィは個別で訪問するようになっていた。
というか、遊んで貰いに行っていた。