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第110章 　 　　 　　 　

　６月２５日（土）～２６日（日）。

　双子はＤＲＥＡＭＳ　ＯＮ　ＩＣＥに出演した。

　その様子は全国ネットのテレビ局でも放送され、父と匠海は双子の今シーズンのエキシビを、画面を通して初めて目にした。

「クリスの『アンスクエア　ダンス』！　しびれる～っ　絶対に一度は生で観よう！」

　ＪＡＺＺ好きの父グレコリーが、灰色の瞳を輝かせてそう言えば、

「振付段階は、見学させて貰ったけれど……。衣装着て照明が入ると、全然受ける印象が違うな。凄く綺麗だ」

　妹の『花のように』を、うっとりと褒めてくれた匠海。

　双子は顔を見合わせて、満足気な表情を浮かべ。

　そして、いつも自分達を見守り・導き・叱咤してくれる母　兼　コーチのジュリアンに、

「「やったね……っ！」」

と、こっそり呟いて見せたのだった。







　７月に入ると、１ヶ月後に控えるＴＨＥ　ＩＣＥへ向け、真面目に双子プログラムに取り組むようになった双子。

　そして例年通り、双子のＨＰ上では　“２０２１-２０２２シーズン　プログラム”　が発表された。



クリス

　ＳＰ：『無伴奏チェロ組曲』　Ｊ・Ｓ・バッハ　作曲　

　　振付：ローリー・ニコルソン

　ＦＰ：『a　songs　for　chris』　エドワード・グレグソン　作曲

　　振付：宮田　賢二
　
　ＥＸ：『アンスクエア　ダンス』　Dave　Brubeck　Quartet　作曲

　　振付：篠宮　ジュリアン　＆　クリス

ヴィヴィ

　ＳＰ：『girls』　高木　正勝　作曲　

　　振付：宮田　賢二

　ＦＰ：『ジゼル』　アドルフ・アダン　作曲

　　振付：ローリー・ニコルソン

　ＥＸ：『花のように』　中居　智弥　作曲
　
　　振付：篠宮　ジュリアン　＆　ヴィクトリア　



　五輪シーズンという事も手伝い、双子の選曲と売れっ子振付師との初タッグは、ネット上でも地上波でも盛んに取り上げられていたが。

　やはり、時事ネタ（国際情勢・政治関連を除く）に疎いヴィヴィは、全く気付いていないのだった。

　それよりも、双子のＨＰの方が気になっていて。

　５年前に（勝手に）作られたそれは、未だに　“クリスとヴィヴィの☆Ｔｗｉｎｋｌｅ☆ＩＣＥ☆”　という、甘ったるいネーミングで稼働している。