この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第110章          

 闇の降りたリビングには、バスルームから漏れる光の筋だけがあった。

 明りに吸い寄せられるようにバスルームへ足を踏み入れたヴィヴィは、ガラス張りの浴室で匠海がシャワーを使っているのを認めた。

 と言っても、兄はまるで頭を冷やす様に、直立不動のまま ずっと顔に湯を浴びていて。

 しばらくして声を掛けようかと悩み始めたヴィヴィの前、匠海はようやく身体全体を湯で清め始めた。

 その後、すぐに浴室から出て来た匠海。

 その目の前で、薄水色のナイトウェアを纏ったヴィヴィは、茶色の大きなバスタオルを広げてにっこりしていた。

「ヴィクトリア……、起きてたのか」

 ぱちぱちと目蓋を瞬かせた匠海は、少し驚いた様子で。

「ほら、おいで~♡」

 楽しそうに発したヴィヴィは、自分から兄の身体を大判のタオルでくるみに行った。

 嬉々として長身の体躯を拭き上げる妹の様子に、匠海も徐々にいつも通りの柔らかな表情になっていき。

「ありがとう、ヴィクトリア。ほら、もう寝よう」

 バスローブを引っ掛けてくれた妹の躰をだっこした兄は、そのまま寝室へと戻った。

 ベッドの上で身ぐるみ剥がされたヴィヴィの隣、バスローブを脱ぎ捨てた匠海も横になり。

「おやすみ」

 優しい声音で囁いてきた匠海に、ヴィヴィは枕の山に頬杖を付いた状態で、上から見下ろす、

「ん……。ヴィヴィ、お兄ちゃんが安眠するまで、見守っててあげるね」

 妹のその言葉に、匠海は「お前は朝早いんだから、早く寝なさい」と促してきたが、

「やぁだ。ほら、目、つむって?」

 細い掌を兄の目の上にかざしたヴィヴィは、そのまま指先で黒髪をふわりと撫でる。

「おやすみなさい、お兄ちゃん♡」

「はいはい……。おやすみ、ヴィクトリア」

 渋々、呟いた匠海だったが、1分もしない内に、安らかな寝息を立て始めた。

(疲れてるんだろうな……。だから、悪夢とか、見ちゃうんだ……)

 しばらく匠海の寝顔を見守っていたが、静かに眠るその様子に、ヴィヴィはほっと胸を撫で下ろし。

 黒髪の上から額に軽く口付けを落とす。

(今度は、いい夢を見てね……?)

/2774ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ