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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第110章
結局2時間。
互いを貪り尽くした兄妹は、そこはかとない疲労を纏いながら湯に浸かっていた。
自分の奥深くで燻っている甘い痺れに、いつまでも縋り付いているヴィヴィと。
何故か無言のまま、妹を後ろから抱き締めている匠海。
いつもなら事後のいちゃいちゃを楽しんでいる筈のバスタイムが、今日は異様に静かだった。
たまに兄が湯を妹の肩にかける、ちゃぷりという静かな水音しか立たぬそこ。
さすがにうとうとし始めたヴィヴィの耳元で、匠海はそっと囁いた。
「試験終わったら、葉山に海水浴……行こうな?」
兄のその言葉に、寝入りばなだったヴィヴィは はっと覚醒させられた。
昨年の夏。
クリスのおかげで行く事が叶った、ドバイへの家族旅行。
我慢出来なくて、わざわざ部屋を取り妹を抱いた兄は、最後にこう言った。
『来年は、一緒に葉山で泳ごうな?』
(ちゃんと……覚えててくれたんだ……)
「……~~っ うんっ♡」
感激して悶絶の上 即答したヴィヴィは、くるりと背後の匠海を振り返る。
優しく見つめ返してくれる兄の瞳が、そこにはあって。
振り向いた方の腕を持ち上げたヴィヴィは、匠海の後頭部に掌を添え、ちゅうと唇に吸い付いた。
(あん、もう大好きぃ~~っ♡)
「水着……どんなのが、いいかな?」
満面の笑みでそう尋ねてくるヴィヴィに、匠海は「ふむ」と一瞬考え込み、
「じゃあ、表面積が小さいの」
「……え……?」
「ブラジリアンビキニって言うのか? この可愛らしい乳首くらいしか隠せない、マイクロビキニとTバック……。うん、いいなぁ」
その言葉と共に、既に元の柔らかさに戻っていた薄紅色のそれを、湯の中でふにとつつかれて、
「…………変態っ」
そう罵ったヴィヴィは、兄の顔にばしゃりと湯をかけたのであった。