この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第110章
数あるベッドルームの中から、一番見晴らしが良くて、相模湾が見渡せる部屋を選んだのに。
広いそこに据えられたベッドの上で、ヴィヴィの視界にはそんなものは入っていなかった。
夏の日光がさんさんと差し込む高い天井と、兄の美しい黒髪と。
それらを交互に視界に収めながらも、細い両腕は匠海の頭へと伸ばされ、
指先はもどかしそうに黒髪に縋っては、柔らかなそれを指に絡ませていた。
寝室に入って速攻剥ぎ取られた、キャミワンピとショーツ。
明るい時間帯に抱かれるのは初めてでは無いけれど、自分の生白い肢体越しに匠海の灰色の瞳と目が合うと、恥ずかしくて切なくて、心臓が止まりそう。
金色の恥毛が日光に透けて見えるその先。
割り開かれた両太ももの間で、兄は妹の肉芽を舌で愛していた。
今でも時々、夢なんじゃないかと思う時がある。
あんなに張りがあって色素の薄い兄の唇が、
ふっと緩めて口角を上げるだけで、周りの女の視線を独り占めしてしまえる匠海の唇が、
自分の恥ずかしいところに触れ、吸い付き、含み、愛してくれるだなんて。
そして、そのすぐ下。
薄い陰唇を、溢れた蜜を纏った指で擽っていた兄は、ゆっくりと隘路を解して行く。
快感しか与えない様に、苦しさや痛みを感じさせない様に。
兄の優しい心根を感じさせてくれる指に、うっとりと目蓋を閉じたヴィヴィだったが、それもすぐに物足りなくなって、切なく啼いてしまう。
中指1本で焦らす様に、ゆっくりゆっくり抜き差しされて。
単調な挿入だけだったそれが徐々に、回転を加えたり、指先でそここらを擽り始めても、ヴィヴィの欲求は満たされない。
「おにい、ちゃ……っ ぁ……ん、ぉに……ぃちゃあんっ」
自分に出来るのは、兄を呼んで言外に強請る事だけ。
精神的に追い詰められると、稀に暴挙に出て匠海を驚かすこともあるヴィヴィだが、
いつもは清楚な(?)年相応の少女。
「指、増やして」だなんて。
「そこ、もっとごしごし して」だなんて。
ましてや、「クリ、いっぱい吸って」なんて、言えない。
言える訳がない。