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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第110章          

 数あるベッドルームの中から、一番見晴らしが良くて、相模湾が見渡せる部屋を選んだのに。

 広いそこに据えられたベッドの上で、ヴィヴィの視界にはそんなものは入っていなかった。

 夏の日光がさんさんと差し込む高い天井と、兄の美しい黒髪と。

 それらを交互に視界に収めながらも、細い両腕は匠海の頭へと伸ばされ、

 指先はもどかしそうに黒髪に縋っては、柔らかなそれを指に絡ませていた。

 寝室に入って速攻剥ぎ取られた、キャミワンピとショーツ。

 明るい時間帯に抱かれるのは初めてでは無いけれど、自分の生白い肢体越しに匠海の灰色の瞳と目が合うと、恥ずかしくて切なくて、心臓が止まりそう。

 金色の恥毛が日光に透けて見えるその先。

 割り開かれた両太ももの間で、兄は妹の肉芽を舌で愛していた。

 今でも時々、夢なんじゃないかと思う時がある。

 あんなに張りがあって色素の薄い兄の唇が、

 ふっと緩めて口角を上げるだけで、周りの女の視線を独り占めしてしまえる匠海の唇が、

 自分の恥ずかしいところに触れ、吸い付き、含み、愛してくれるだなんて。

 そして、そのすぐ下。

 薄い陰唇を、溢れた蜜を纏った指で擽っていた兄は、ゆっくりと隘路を解して行く。

 快感しか与えない様に、苦しさや痛みを感じさせない様に。

 兄の優しい心根を感じさせてくれる指に、うっとりと目蓋を閉じたヴィヴィだったが、それもすぐに物足りなくなって、切なく啼いてしまう。

 中指1本で焦らす様に、ゆっくりゆっくり抜き差しされて。

 単調な挿入だけだったそれが徐々に、回転を加えたり、指先でそここらを擽り始めても、ヴィヴィの欲求は満たされない。

「おにい、ちゃ……っ ぁ……ん、ぉに……ぃちゃあんっ」

 自分に出来るのは、兄を呼んで言外に強請る事だけ。

 精神的に追い詰められると、稀に暴挙に出て匠海を驚かすこともあるヴィヴィだが、

 いつもは清楚な(?)年相応の少女。

 「指、増やして」だなんて。

 「そこ、もっとごしごし して」だなんて。

 ましてや、「クリ、いっぱい吸って」なんて、言えない。

 言える訳がない。

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