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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第110章          

 蜜がこんこんと湧き出るそこに陰茎を擦り付けられながら、耳裏と首をべろりと舐め上げられ。

 乳房を大きな両掌で、これでもかと揉み解され。

 気持ちいい。

 気持ちいい、けれど。

「……~~っ ふぇえ……っ」

 兄が来てくれなくて、身も心も本当に切なくて。

 幼児の様にくずり始めたヴィヴィに、匠海はようやく苦笑して入って来てくれた。
 
 やっと与えられた兄の昂ぶりに、ヴィヴィは白い肢体をくねらせ、一際高い声で啼く。

「……っ あぁ……ん、おっきぃ~~」

「俺のエノキ……、大きい?」

 小さな両膝頭を掌で包みながら、ゆっくりと腰を落としてくる兄のその問い掛けに、

 ヴィヴィの金色の頭の中には、白くてひょろっひょろのキノコが浮かぶ。

「~~っ!? え、エノキなんかじゃ、ないもんっ」

(謙遜にも程があるでしょうっ!? あん、おっきい……♡)

「ん? じゃあ、しめじ?」

 匠海の更なる問いに一瞬、チョコ菓子の “きのこの山” を思い浮かべたヴィヴィは、ぶんぶんと頭を振る。

「ちがうぅ~~」

「そう? ん~、エリンギとか?」

 そう追及してくる匠海は、心底楽しそうで。

「……っ も、もっと……」

(もっと大きな、マツタケ……さん……? ううん、もっと太いの)

「なに?」

 顔を近付けて来る兄に、互いの唇が触れ合うか触れ合わないかのところで、先を懇願され。

「もっと、おっきいし……太い、し……」

(ヴィヴィの中に、全部収まりきらないし……)

「うん」

「な……、ながい……ん、だもんっ」

 そこまで言い切ったヴィヴィは、まるで拗ねた様に唇を尖らせた。

「ははっ ありがとう」

 やっと妹を解放した兄は、そう礼を口にすると、愛おしそうに薄紅色の唇を啄ばんだ。

「ヴィヴィの……、ヴィヴィだけの、なの……」

(そう、だよね……?) 

 匠海の精悍な頬を撫でながら、そう確認すれば、

「そうだよ。このキノコは、ヴィクトリアだけのものだ」

 そう答えてくれた匠海の瞳が、本当に真っ直ぐで、一瞬の曇りも無かったから。

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