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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第110章          

 その日の深夜。

 白い寝室には、ぴちゃぴちゃという水音と、擽ったそうな笑い声がしていた。

「ほら、気持ちいいだろ?」

「……っ いい、けど……っ」

 何か言いたげなヴィヴィの声音に、匠海が「ん?」と促しながら覗き込んでくる。

「ヴィヴィ、今回は全然 焼けてない……よ?」

 大きな瞳が見つめる先。

 白く細長い両腕は、しっとりと潤っていた。

 匠海が嬉々として塗り込んでくれた、美白化粧水で。

 昨年、ドバイで日焼けしたヴィヴィは、既に用意していたフィギュアの衣装(の肌襦袢)と肌色が合わなくなり。

 困っていたところ、兄が毎夜 優しく(?)美白してくれた。

 そして、元通り白くなったというのに、それに味を占めたらしい匠海は、

『今度は “保湿化粧水” を塗ってあげようね』

と、毎夜の添い寝の度に、妹の躰に化粧水を塗り込めながら悪戯をしていく始末。

「俺、これ、好きだな」

「ん……?」

 何を言っても無駄……と達観しながら、兄の股の間からその顔を見上げれば、

「このルームウェア……。ほら、こうすると、すぐに可愛いおっぱいが食べられる」

 薄水色のナイトウェアは、夏になるとヴィヴィが好んで着ているデザインのもの。

 パフスリーブで、スクエアに開いた首元。

 そして胸下で絞られたそこから下は、踝まですとんと落ちたシンプルなデザイン。

 指で引っ掛けて胸元を覗き込んだ匠海は、細いゴムを伸ばしてその下の白い乳房を露わにし、

「ゃんっ」

 恥ずかしがるヴィヴィを更に虐めようと、柔らかなままの尖りを口に含んで舐め転がす。

 ざらりとした舌の感触に、びくりと躰が反応する。

 匠海はいつも「美白だ」「保湿だ」と言いながら、ヴィヴィの躰を味わってくる。

「あ……、ぅんっ そ、そこも、焼けてない、の……っ」

 横抱きにされた裾から這い上がってくる兄の掌が、共布のショーツの上から大事な部分を柔らかく擽ってきて。

(そこは、ダメ……。ヴィヴィ、我慢出来なくなっちゃうから……)

「見るのも、駄目?」

「だ、ダメっ」

 セックスする気もないのに、そんなところを見せるだなんて。

 大きな瞳を驚きで見開く妹が可笑しかったのか、匠海はくっくっと笑ってその薄い唇を吸い上げた。

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