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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第110章
そしてその後、画面に現れたのは、双子と浅田 真緒。
中京テレビの番宣番組の一環で、浅田が進行役で双子に話を聞く企画があったのだ。
『え~~、今日は、我が日本のエース、篠宮 クリス君とヴィクトリアちゃんに来て貰いました。パチパチ』
明るい声で手を叩いて盛り上げる浅田に、スポーツウェア姿の双子は『お願いします』とぺこりとお辞儀する。
「匠海~、日本語分かんない、通訳して~」
叔母のその懇願に、匠海は「了解」と同時通訳を始めた。
『え~と、なんだっけ?』
マイペースな浅田は、進行が頭からすっ飛んだらしく、笑いながら首を捻り。
隣の男性アナウンサーにフォローを入れられながら、番組が進行していく。
『あ、そうでした。2人にはお互い “相手に直して欲しいところ” をフリップに書いて貰いました。じゃあ、ヴィヴィから行く?』
浅田に名指しされ、ヴィヴィはメロメロになりながらも頷き、
『はいっ これです。ジャジャン!』
効果音を付けてひっくり返したそこには “「可愛い」って言わないで” と、でかでか書かれていた。
『これは、どういう意味かな?』
浅田の問いに、ヴィヴィは拗ねた表情を浮かべてクリスを睨む。
『そのまんまです。クリスここのところ、ヴィヴィには「可愛い」って言っておけば、大人しくしてるって思ってるんです!』
妹のその主張は、クリスには心外だったらしい。
『え……、そんなこと……』
すかさず、男性アナウンサーがフォローを入れる。
『クリス君は、そんなつもりは無いのですか?』
『勿論です。ヴィヴィは本当に可愛いから』
大きく頷きながら、また「可愛い」と言ってくる双子の兄に、ヴィヴィは頬を染めて恥ずかしがる。
『~~~っ!? もうっ やめてぇ~~っ』
『あははっ クリスにはヴィヴィが何をしていても可愛く映るんだから、しょうがないよね~。じゃあ、次はクリス』
なんか流された感があったが、浅田は進行を進めていく。
『はい。僕がヴィヴィに直して欲しいところは、これです』
テレビ用にハキハキ喋るクリスは “怖い歌を歌わないで” と書いたフリップを見せる。
その途端、テレビを見ながら同時通訳していた匠海が「ふっ」と吹き出した。