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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第110章          

 もちろん全部気持ち良かったし、ヴィヴィが少しでもしんどそうだったり苦しそうだったら、匠海はすぐに違う体位に変えてくれたけれども。

(なんで、こんなに好きなんだろう……。もう何をされても、お兄ちゃんならいい……って、思っちゃうの)

 自分の心の中の柔らかな部分。

 そして、躰の奥の奥の最深部。

 それらを掌握しているのは、何時だって目の前の匠海。

 この世に生を受けた時から、自分は兄の為だけに在ったと言っても、過言では無いほどに。

「ヴィクトリア……。愛しているよ」

 湯に浸かりながら、目の前のヴィヴィに愛おしそうに囁いてくる匠海。

 その瞳の中に吸い込まれそうな程、兄のそれは蠱惑的な色香を湛えていた。



 
 もう引き返すことは出来ない

 これが最後の一線

 もう橋は渡ってしまった

 後は橋が燃え落ちるのを 見ているだけ

 もはや もう戻れない
 ――The point of no return



 そう。

 この自分を天国へも地獄へも連れて行くことが出来るのは、

 そして、破滅に導くことが出来るのは、

 目の前にいる、この匠海だけだ――。
 






 ロンドンの父の生家では、祖母のガーデニングを手伝ったりしながら4泊過ごし。

 そして、エディンバラの母の生家では、年の近い従姉妹達と屋敷のプールで泳ぎまくったりして4泊過ごし。

 短い夏休み & 家族旅行を満喫した篠宮家御一行。

 8月16日(火)にエディンバラ空港 9:00発、ヒースロー空港 経由で、

 翌日17日(水)に、7:20着で羽田空港に降り立った。

 14時間20分のフライトと―8時間の時差を物ともせず、双子は直ぐに松濤のリンクへ直行し、周りを呆れさせたのだった。





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