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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第110章
そしてその5日後。
双子はまた、機上の人になっていた。
その行先も、ヨーロッパ方面という。
あまり乗る機会が少ないエコノミークラスには、双子の他にもスケ連関係者、選手、コーチ陣がいた。
目指すはドイツのローゼンハイム。
来年の2月に行われるドイツ・ミュンヘンオリンピックの開催地――の近くの街、へ向かうのだ。
日本スケート連盟の、特別強化選手 合宿の為に。
2021―2022年の特別強化選手は、計14名。
男子は下記の5名――
羽生(はぶ) 結弦(28)
宇野 昌麻(22)
本田 太壱(24)
篠宮 クリス(19)
西森 真瑚(19)
女子は下記の5名――
本郷 理香(26)
大場 雅(26)
宮平 知子(24)
本田 まりな(21)
篠宮 ヴィクトリア(19)
アイスダンス――
マリア 渋谷(23)
アルフレッド 渋谷(27)
ペアスケーティング――
棚橋 成美(31)
マービン 藤堂(33)
そして、強化選手Aから、下記の2組も参加する。
アイスダンス――
安方 静流(17)
鈴木 賢太郎(19)
ペアスケーティング――
下城 舞(24)
成田 達樹(24)
この強化選手Aからの合流は異例だが、
来年に行われるミュンヘン五輪――アイスダンスとペアは(先の世界選手権で出場枠を2枠ずつ獲得した為)、この2組もほぼ確実に五輪に出場するであろうことから、召集されたのだった。
「ね~ね~、クリス?」
「なあに……?」
隣の席、先程からiPadを弄り倒している妹の甘えた声に、クリスは優しい声と共に振り向く。
自分にそっくりのその小さな顔には、楽しそうな表情が浮かんでいた。
「んとね? 五輪開催まで、あと何日でしょ~~か?」
本当に19歳かと疑いたくなるほどガキっぽいが、ちゃんと大学2年生である。