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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章
9月3日(土)~4日(日)。
石川総合スポーツセンターにて、本年2回目となる Fantasy on Ice2021に出演した双子。
1回目の福岡に続き、ヴィヴィはDreams Come Trueの『LOVE LOVE LOVE』をコラボレーションし。
昼夜合わせて2日間で3回滑り、会場を沸かした。
その翌週末、9月10日(土)。
匠海の同伴者として参加した、経済同友会 懇親会。
秋に入ったということもあり、匠海が用意してくれたドレスは大人っぽいワインレッドだった。
緩やかなUラインを描くベアトップワンピ。
その胸元と背中は、黒のアンティークレースが肩で繋がっていて、露出が控えめなのに、シルエットがすっきりしていてとても素敵だった。
兄が「凄く似合う」と褒めてくれたのが、一番嬉しくて。
けれど、ヴィヴィがニッコニコだったのはその時まで。
ヴィヴィは正直、兄の付き添いに命を懸けている。
――言い過ぎた。
そのくらい、真剣に取り組んでいた。
一度紹介された人は絶対に忘れないし、季節の便り、クリスマスカード、記念事の贈り物。
それら全てを、朝比奈の助けを借りながら、完璧に取り計らってきた。
全ては兄の為に。
否――半分は、自分の為に。
匠海の役に立ちたい。
本来兄が手にする筈だった幸福な家庭を、少しでも自分の手で与えてあげたかった。
8度目となれもば、経済同友会の常任理事のメンバーは、ほぼ知り合った顔ぶれの経営者達。
住友三井銀行 取締役会長、旭グループホールディングス 相談役、四菱地所 取締役会長、伊東忠商事 取締役会長、等が名を連ねる。
兄に連れられて全ての人に挨拶し、再会を喜んだヴィヴィ。
けれど、本日の懇親会はリーダーシップ・プログラム(次世代経営者育成のためのプログラムで若手役員を対象)の為のもの。
よって、いつもよりは年齢層が低かった。
少し疲労の見えるヴィヴィを休ませた後、匠海は新しい経営者候補達に紹介してくれた。