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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章                 

「お前の真っ白な肌が、茜色に染め上げられていって……。とても、綺麗だった」

 自分の頬に擦り付けられる、兄の頬。

 包み込まれる大きな掌。

 覗き込んでくるその灰色の瞳は、しっとりと濡れていて。

 こめかみに押し当てられる唇からは、時折「はぁ」と切なげな吐息が漏らされて――熱い。

「…………っ」

 自分の事を、兄が凄く求めている。

 匠海の様子にすぐにそう察知したヴィヴィは、ぶるりと大きく躰を震わせた。

(なんて……、なんて、幸せなのだろう……っ)

 愛している人に自分を求めて貰える。

 これ以上の幸せを、自分は知らない。

「で、欲情したので、これから美味しく頂きます」

 そう甘く囁いて、自分を軽々と横抱きして立ち上がる兄に、ヴィヴィは驚いてその首に両腕を絡ませる。

「しゃ、シャワー……」

 最低でも!

 そこだけは!!

 絶対に主張しなくては!!!

「悪戯されながらでもいいなら、シャワー浴びてもいいよ?」

 そう譲歩(?)してくれた匠海の腕の中で、ヴィヴィは半泣きの顔でこくこく頷いたのだった。






 なのに――、

 匠海手ずからのディナーを口に運びながらも、ヴィヴィは心ここに有らずだった。

 グリルで皮ごと炙った有頭エビを咀嚼しても、味なんてあんまり分からない。

 躰が熱くて。

 ワイングラスに注がれたペリエを口に含むも、その冷たさにホッとしたのも束の間、

 微炭酸に咽喉粘膜が過敏に反応し、けほけほと軽くむせてしまう。

「ヴィクトリア。大丈夫か?」

 目の前に腰掛けていた匠海が、心配そうに問い掛けてくるが、本当に心配しているかは定かではない。

 顔が――整っていて、彫りが深くて、でも東洋の美しさも備えたその兄の顔が、悪巧みをする表情で嗤っている。

「……~~っ だ、だいじょう、ぶっ」

(じゃない、よぉ……っっ)

 心の中でそう付け足しながら、ヴィヴィは瞳を細める。

 切ないの。

 バスローブに包まれた、躰の奥の芯が。

 膝に置いていたナプキンをくしゃりと握り上げ、その陰で薄い唇をむににと真一文字に引き結ぶ。



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