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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章                 

 今から1時間前。

 匠海に横抱きされて、2階の一番大きなベッドルームに運び込まれた。

 約束通り、その奥にあるガラス張りのシャワールームに降ろされた――迄は、良かったのだが。

 温めの湯が、天井に据え付けられた大きなシャワーヘッドから降り注ぎ、

 そんなには広くはないそこで、2人で躰を寄せ合いながら浴びるのが、なんだか楽しかった。

 そして予想通り、塗り広げられるボディーソープ。

 匠海の大きな掌で、ぬるぬると肌を辿られると、もうそれだけでヴィヴィは昂ぶってしまった。

 兄が自分をなぞる順に、自分もまねて匠海の逞しい躰を両掌で丹念に辿る。

 上から降りていく互いの手が、腹の窪み――おへそに降りた時はさすがに色気もあったものじゃなく、

 2人ともくすぐったがって、笑ってしまって。

 けれど、匠海の長い指先が金色の茂みで泡立たせ始めると、ヴィヴィの顔から笑みが消えた。

(お兄ちゃん、毛……無い……)

 いや、別にそんなことを気にしたからでは無く。

 まだ寛いでいない秘めやかな部分を、指で辿られ始めたから、で。

(ヴィヴィも、する、の……)

 泡まみれの両掌の中に、柔らかく兄の分身を包み込む。

 半ばまで勃ち上がっていたそれは、自分の手の中でみるみる大きくなっていく。

 それはある種の魔法のようにも見えて、けれどやはり性の営みだから隠匿さのほうが勝る。

 そのまま互いの柔い部分を探り合っていると、ヴィヴィは立っていられなくなって、兄の泡あわの胸にぽすっと凭れ掛かった。

『ん? もうギブアップか?』

 楽しそうにそう囁いてくる兄に、ヴィヴィは「だって……っ」と蚊の鳴くような声で言い募る。

(お兄ちゃんの触ってたら、ヴィヴィ、凄く興奮しちゃった、みたい……)

 今 自分の掌の中に居る兄のものが、これからきっと長い時間、ヴィヴィをいっぱい愛してくれる。

 そう思うだけで鼓動が加速し、つられて呼吸が早くなってしまって。

『しょうがない。ここでしようね』

 苦笑した匠海は止めていたシャワーを捻り、また温い湯で互いの躰に纏わりついた泡を洗い流す。

 そして、シャワールームの細長い金属のノブを、ヴィヴィに掴まらせた。


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