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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章
待ち侘びて待ち疲れて、もう諦めに達するほどだった自分の切ない場所。
そこをひと息に暴かれた衝撃は凄まじかった。
あまりの事に咽喉が詰まって、はくはくと酸素を求めて喘ぐ薄い唇。
なのに、匠海はそんな事にさえそそられる様で、甘い口付けを求めて吸い上げてくる。
「……っ ふぅ……、ふぅ~ん……っ んんっ」
それで無くても、兄を欲して蠢く媚肉が、匠海の舌に翻弄されて更に切なく打ち震える。
(気持ちいいよぉ……、今、出されちゃったら、ヴィヴィ、失神しちゃうかも……)
まるで強請る様に、ヴィヴィの細い両脚がおずおずと匠海の腰に回されるが、
先程イったばかりの兄は、さすがに吐精までは到らなかった。
やがて落ち着きを取り戻した、熱くぬかるんだ場所。
ヴィヴィは無意識に兄の首に縋り付き、匠海から与えられる口付けに没頭していた。
甘い。
とことん甘ったるい。
蜜月というのは、きっと、こういう時期の事を言うんじゃないだろうか。
愛しい人となら、何をしていても楽しくて。
見つめ合うだけでも幸せで。
そして、一つになれば、もう、言葉にならない。
やがて離された唇に、物足り無さ気に追い縋る大きな瞳。
互いの唇に張った透明な糸に気付いた匠海が、舌でぺろりとそれを舐め取り。
そして薄い唇に、啄むだけのキスを幾つもくれた。
「可愛く、イケたね。俺も凄く、気持ち良かった」
熱く湿った吐息と共に吐き出された、兄の褒め言葉。
それに、「もう……っ」と少し拗ねた声を上げたヴィヴィに、匠海は謝った。
「ふ、ごめん。大事な時期だから、ヴィクトリアにちゃんと食事採らせないと、と思って」
「いじ、わるっ」
思わずそう兄を責めてしまう。
だったら最初から、普通にディナーを採って、それからゆっくりと愛し合えば良かっただろうに。
もう、幾つ心臓があっても足りない。
「でも、ヴィクトリア、凄く気持ち良さそうだったけど?」
痛いところを付いてきた兄に、ヴィヴィは白い歯を見せ「イ~~っ」と刃向かう。
そんなガキ丸出しの妹の応酬に、匠海は心底面白そうに笑い、
そして、自分の胸の中にその華奢な躰をしっかりと抱き締めた。
「ほら、今度はベッドで、沢山愛し合おうね」