この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章
「じゃあ、早朝の運動、しようか」
「え……? 運動?」
砂浜の散歩でもするのかな? と、ヴィヴィのバスローブの胸が高鳴ったのも束の間、
背後から押し当てられた固く大きな感触に、兄の意図をすぐに読み取った。
「な、何でそんなに、元気、なのぉ……?」
力なく問い掛けてくる妹に、兄は笑みを深くしながら答える。
「ん。ヴィクトリアがそこにいるから、かな?」
まるで「そこに山があるから」――と、過酷な登山家の如き発言をした匠海。
言うや否や、ちゅっちゅっとその首筋を後ろから啄んできて、
「あんっ ヴィヴィ、ま、まだ……するって、言ってな……っ はぅっ やだぁ~~っ」
バスローブの合わせ目から差し込まれる、大きな掌。
後ろからべろりと舐め上げられる、弱い耳の裏。
そして、
「ん? ダメ?」
そう甘えた声音で囁かれれば、もう、突き放せる筈など無く。
「……っ 優しく、して、ね……?」
(今日、夕方から、レッスンだから……)
思ったよりも甘えた声が出てしまって。
「そんな蕩けそうな声で言っても、説得力無い」
そう突っ込んでくる兄に横抱きされ、ヴィヴィは室内へと連れ戻されたのだった。
その後、きっかり1時間半とろとろに蕩けさせられて。
結局、兄が作ってくれた朝食を、ベッドの上で食べさせられたヴィヴィ。
(あ゛ぁ~~……、ヴィヴィ、女子力0だよ、とほほ……)
そう思うのに、自分を覗き込んでくる匠海の瞳が柔らかくて、
ぺろりとパン屑を舐め取られる唇が、心地良くて。
「美味しかった?」
まるで「褒めて?」と甘えるような兄の言動が、可愛過ぎて。
「うん♡ お兄ちゃん、ありがとう。大好きっ」
どうしても、にへらと締まりなく緩んでしまう小さな顔。
そんな妹に満足そうに微笑んだ匠海は、その後もお風呂に入れてくれたりと、至れり尽くせりでヴィヴィを甘やかした。
昼前、砂浜を散歩した2人は、帰り準備を済ませた後、ウッドデッキで少し寛いでいた。
何だか、帰るのが惜しくて。