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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章                 

「じゃあ、早朝の運動、しようか」

「え……? 運動?」

 砂浜の散歩でもするのかな? と、ヴィヴィのバスローブの胸が高鳴ったのも束の間、

 背後から押し当てられた固く大きな感触に、兄の意図をすぐに読み取った。

「な、何でそんなに、元気、なのぉ……?」

 力なく問い掛けてくる妹に、兄は笑みを深くしながら答える。

「ん。ヴィクトリアがそこにいるから、かな?」

 まるで「そこに山があるから」――と、過酷な登山家の如き発言をした匠海。

 言うや否や、ちゅっちゅっとその首筋を後ろから啄んできて、

「あんっ ヴィヴィ、ま、まだ……するって、言ってな……っ はぅっ やだぁ~~っ」

 バスローブの合わせ目から差し込まれる、大きな掌。

 後ろからべろりと舐め上げられる、弱い耳の裏。

 そして、

「ん? ダメ?」

 そう甘えた声音で囁かれれば、もう、突き放せる筈など無く。

「……っ 優しく、して、ね……?」

(今日、夕方から、レッスンだから……)

 思ったよりも甘えた声が出てしまって。

「そんな蕩けそうな声で言っても、説得力無い」

 そう突っ込んでくる兄に横抱きされ、ヴィヴィは室内へと連れ戻されたのだった。






 その後、きっかり1時間半とろとろに蕩けさせられて。

 結局、兄が作ってくれた朝食を、ベッドの上で食べさせられたヴィヴィ。

(あ゛ぁ~~……、ヴィヴィ、女子力0だよ、とほほ……)

 そう思うのに、自分を覗き込んでくる匠海の瞳が柔らかくて、

 ぺろりとパン屑を舐め取られる唇が、心地良くて。

「美味しかった?」

 まるで「褒めて?」と甘えるような兄の言動が、可愛過ぎて。

「うん♡ お兄ちゃん、ありがとう。大好きっ」

 どうしても、にへらと締まりなく緩んでしまう小さな顔。

 そんな妹に満足そうに微笑んだ匠海は、その後もお風呂に入れてくれたりと、至れり尽くせりでヴィヴィを甘やかした。

 昼前、砂浜を散歩した2人は、帰り準備を済ませた後、ウッドデッキで少し寛いでいた。

 何だか、帰るのが惜しくて。


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