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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章
いつものように、兄の股の間に横抱きされて海を眺めていたヴィヴィ。
今回も兄に色々して貰って、それに沢山愛して貰った。
何か恩返しをしたいなと思ったヴィヴィは、却下されそうだと思いながらも、口にしてみる。
「帰り、ヴィヴィが運転しようか?」
匠海のBMW――ヴィヴィもMT車を運転出来るので。
「……勘弁してくれ」
そう一刀両断した兄に、「や、やっぱり……」と少し凹んだヴィヴィは、けれど大概案を思い付いた。
自分の腰に緩く巻き付けられていた匠海の腕を解くと、ぴょんと黒の籐網ソファーから降りる。
そして、白いクッション部分に座り直したヴィヴィは、ぽんぽんと自分の細長い両太ももを叩いた。
「膝枕、してあげる♡」
たまに、クリスに請われてするそれ。
そういえば、匠海にはした事は無かった気がする。
もっとちっちゃな頃は、逆にヴィヴィが兄に甘えて膝枕を強請っていたし。
「なるほど……。そういう発想は、無かったな」
少し意外そうに呟いた匠海。
何故か恐々といった様子で、その黒髪を妹の両太ももの上に預けてくる。
珍しくミニスカートを履いていたので、直接肌に触れる兄の髪がなんだか擽ったい。
「凄い……。気持ち良い……」
切れ長の瞳をぱちぱちと瞬いて、驚いた表情を浮かべる兄。
「そ?」
「ああ、ヴィクトリアの太もも、力抜いてると柔らかくて、肌が吸い付く様で、本当にいい……」
匠海のその率直な感想に、ヴィヴィは「……はは……」と乾いた笑いを零す。
ヴィヴィは一応、毎日トレーニングを欠かさないトップアスリート。
しかも、ジャンプ力を必要とするフィギュアスケーターの為、当たり前だがその辺の女子より引き締まった筋力がある。
よって、力を込めると、脚と腹筋はかっちかちなのだ。
(も、もしかして……。え、えっちの最中にも、「硬っ」って思われてるのかな……。うぅぅっ)
兄の美しい黒髪に指を絡ませながらも、ヴィヴィはどよ~~んと悲嘆に暮れた。
「ヴィクトリア……ごめんな……」
「……え? 何、が?」
いきなりの匠海の謝罪。
驚いたヴィヴィは、ぱっと兄の顔を見下ろす。
(ごめんって……「太もも硬い発言」に対して……?)