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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章
「だってね、ヴィヴィとお兄ちゃんは兄妹でしょう? 別に映画館に行こうが、遊園地に行こうが、咎められる理由、無いじゃない?」
只の仲の良い兄妹。
キスやらハグやらを人前でしなければ、それはきっと微笑ましい図になると思う。
「まあ、そうだけれど」
納得してくれた様子の匠海に、ヴィヴィはにっこりと笑いかける。
「ヴィヴィは、人の沢山いるところに行くより、こうやって、お兄ちゃんを独占出来る方が、何倍も何十倍も嬉しいんだけどな?」
2人きりの時の匠海は、色っぽくて、優しくて、少し甘ったれで。
もう、悶え死にそうなほど可愛い。
うん、可愛いの!
「ねえ、お兄ちゃん?」
「ん?」
そんな短い相槌でさえ感じる、暖かな声音。
心を許してくれているのが伝わってきて、安心する。
「ヴィヴィを愛してくれて、ありがとう」
「………………」
ずっと思っていたことを口にしたヴィヴィに対し、匠海はまるで驚き過ぎて硬直したかの様に、自分を見上げてくる。
「こんな日が来るなんて、夢にも思って無かったの……。ヴィヴィ、今、本当に幸せだよ?」
傍に居させてくれて。
女として愛してくれて。
そして、
絶望しかなかった未来を、希望に満ち溢れた将来へと塗り替えてくれた。
『ありがとう』
本当にその言葉しか、今の匠海には無いのだ。
身を屈めて、兄の額に唇を押し付ければ、
膝の上の匠海は、何故か眩しそうに自分を見上げてくる。
「なんか……、いい女になったな」
「……――っ!? ……あらまあ……♡」
そんな最上級の褒め言葉を贈ってくれた匠海に、ヴィヴィは驚き。
あまりに照れ臭くて、火照る頬を掌でくるんで、おどけるしかなかった。
(……って、全然 “いい女” じゃないけど。えへへ、でも、やっぱりそう言って貰えると、嬉しい)
そんなヴィヴィを、匠海はゆったりと上げた腕を細い首に絡め、引き寄せる。
「俺の人生に居てくれて、ありがとう、ヴィクトリア」
「え……?」