この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章                 

「アルブレヒト(ジゼルを騙している婚約者)を意識しつつ、踊れる嬉しさと、彼と会えた嬉しさ……そう」

 そこで止められて、座って見ていた吉野が立ち上がり、レッスンが白熱していく。

「目線をはっきりとね。どこでもいいから、伏し目がちにするんじゃなくて、どこかこうフォーカスして……そうそうそう……」

 音楽無しで続きを踊ってみせるヴィヴィに、吉野は同じふりを隣で身振り手振りで主張する。

「広い空間を感じて……。今 目の前には劇場の客席が広がってて、向こうまで届くように、大きく……そう!」

 パッセ(片脚の爪先を軸脚の膝に持ってくる)から、アラベスクへ。

 少しためを作ってから、プリエ(両脚を外旋させ、膝を曲げ伸ばす動き)をすっと立つ。

「彼がそこにいるのを、見なくても背中で感じる。そわそわドキドキ……。ヴィヴィの好きな人が、そこに立ってると思って?」

 吉野のその指示にどきりとする。

 匠海がすぐ傍にいて、ヴィヴィの踊りを眺めている。

 そう思うだけでレオタードの胸内は高まり、愛らしい笑顔がより一層 幸福なものへと変わる。

「ふふ、ヴィヴィにとっては魔法の言葉よね。 “好きな人の前で踊ってるように” っていうのは」

 続きから奏でられるピアノの音色。

 小刻みなそれは何だか可愛らしく、白く透ける裾を両手で摘まんだヴィヴィも曲に乗せて、ロン・ドゥ・ジャンプ(脚で半円を描きながらジャンプする)で右へと移動し、

 途中アティチュード(片脚を上げ、その膝を90度内側へと曲げたポーズ)を挟む。

「アティチュードは膝、もっと上げる、で、もっとクロス。正面から見てもクロスに見えるように……うん、いい」

 ヴィヴィの軸足の膝前を、上げた脚がクロスし、その場で跳ねる。

「最後のマネージュ(舞台上で跳躍や回転技を連続して行いながら、円の軌跡を描く)……。押して押して! 先に先に、右肩上がってる」

 広いレッスンルームを弧を描きながら、ピケ・アン・ドゥダンを連続で熟す。

 自分の視界にも、白くてふんわりしたチュールが映り込み、

 それにより踊る楽しさと、ちょっとした女心のトキメキなんかも生まれて、気分が上がる。


/2774ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ