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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章                 

「篠宮選手が五輪シーズンに『ジゼル』を選んだのは、どう思われましたか?」

 スタッフの問いに、吉野は両手を叩いて喜んだ。

「あ~、もうぴったり! って思いました。『ジゼル』はロマンティック・バレエ――演劇と舞踊が融合しているのに対し……、以前ヴィヴィも滑った『眠れる森の美女』に代表されるクラシック・バレエは、演劇と舞踊をはっきりと分離しています。ヴィヴィは役になりきるのが本当に得意。だから彼女の『ジゼル』は、素晴らしいプログラムになると信じています」

「都先生が、ヴィヴィのこと、褒めてる……っ」

 そう驚嘆したヴィヴィに、吉野はカラッと笑い飛ばした。

「良いものは、ちゃんと褒めるわよ~。どんな鬼と思われてるのよ、私」




 少しの休憩を挟み、次はスケートに直結するレッスンへと移る。

 ヴィヴィがFPで演じるのは “恋人の裏切りを知ったジゼル ~ 精霊ウィリになり果てても、最終的に恋人を助けるジゼル”。

 貴族のアルブレヒトの裏切りに気付いた後、ジゼルが息絶えるまでのシーンは “狂乱の場” と呼ばれる。

 ピアノが奏でる音で、ヴィヴィは頭のスイッチを切り替える。
 
 アルブレヒトの婚約者・貴族のバチルドが、狩りの途中でジゼルの住む村へ訪れる。

 彼女の美しいドレスに見惚れ触れてしまったジゼルに、バチルドはもてなしの礼として首飾りをプレゼントする。

 だが、2人は恋敵。

 ジゼルを愛する村人ヒラリオンが、アルブレヒトの裏切りを明るみにし、場は一変する。

 音楽はこれ以上ないほど悲劇的で、不安を煽るもの。

 バチルドの掌に口付るアルブレヒトに、ジゼルは割って入り、必死に自分と彼は婚約していると主張する。

 なのに、アルブレヒトは自分の問いに答えてはくれないし、バチルドは「自分こそ彼と婚約している」と。

 ヴィヴィ扮するジゼルは、金色の髪を振り乱して錯乱し、ヒステリックに首飾りを引き千切る。

 唯一の家族・母親に「心臓に悪い」と宥められるも、もう心ここにあらず。

 以前、2人でした「好き、嫌い……」という花占いをなぞっては嘆き、
 
 一緒に踊ったダンスを、ひとり辿っては狂う。


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