この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章
双子とも、その素敵な衣装に負けず劣らずのプログラムで会場を魅了し、シーズン初戦を楽しい思い出だけを胸に終える事が出来た。
夜から開催されたCarnival on Iceのアイスショーも、伸び伸びと滑って魅せた双子。
と言っても ジャパン・オープンは、ISU(国際スケート連盟)公式競技会と同じ規定と採点方法で実施される大会。
選手の双子よりも、チーム双子の皆の方がその結果を真剣に受け止めていた。
選手本人には良い感触を持ったまま、次の実戦へと進めるように。
そしてコーチ陣は、レベルの取りこぼしや各要素に対する評価を見直し、更に良いポイントを稼げるように。
皆が一丸となって、2度目のオリンピックへと向かっていた。
その翌週、10月15日(土)。
ヴィヴィは篠宮ホールディングスの同業者である、J・Pモルゴン・ジャパンの社長就任パーティーへと赴いた。
2週間後にグランプリ・シリーズ初戦・NHK杯を控えた妹に、匠海は「無理をするな」と言ってきたが、ヴィヴィは「絶対に行く」と言って聞かなかった。
自分が恋人ということで、兄に肩身の狭い思いをさせたくなかったのが一番。
それに、初戦のジャパン・オープンで受けた手応えが良かった為、シーズン中とはいえ、ヴィヴィ自身に余裕があった。
篠宮ホールディングスのグループ会社――篠宮證券は、証券会社としては世界1位。
それは “法人向けの証券会社” というカテゴリーが、海外には無いからだが。
それでも “投資銀行” のカテゴリーで見ても、篠宮は世界で3本の指に入る。
そして、J・Pモルゴンは(M&A、エクイティー、FICCフィー等で見ると)世界1位の最大手。
その日本法人での社長の代替わりとあって、気の抜けないパーティーだった。
幼さの残る小さな顔に、自然な微笑みを絶え間なく浮かべたヴィヴィ。
匠海よりは目立たぬように、けれど、その存在感は存分に主張し、兄が求める成果はあげられたと思う。