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第111章 　 　　　 　　　 　　　　 　

　１０月後半に入り、いよいよグランプリ・シリーズ２０２１が開幕した。

　１０月２１日（金）～１１月２８日（日）までの毎週末、各国で連戦が繰り広げられる。

第１戦　：　スケート・アメリカ

　羽生（はぶ）　結弦、本郷　理花

　棚橋　成美　＆　マービン　藤堂

　マリア　＆　アルフレッド渋谷

第２戦　：　ＮＨＫ杯

　篠宮　クリス・ヴィクトリア、宮平　知子

　棚橋　成美　＆　マービン　藤堂

第３戦　：　中国杯

　宇野　昌麻、宮平　知子　

第４戦　：　エリック・ボンパール杯（フランス大会）

　篠宮　クリス・ヴィクトリア

第５戦　：　スケート・カナダ

　羽生　結弦、本田　まりな

　マリア　＆　アルフレッド渋谷

第６戦　：　ロステレコム杯（ロシア大会）

　宇野　昌麻、本田　太壱、本郷　理花
　
　そして、その６大会から勝ち上がった上位６名が、グランプリ・ファイナル（中国・北京）へと進出する事が叶う。

　いつもは自分が出場しない試合の映像を確認しないヴィヴィだったが、初戦のスケート・アメリカは（土・日は）リアルタイムで応援した。

　なにせ日本チームから２人と２組が出るのだ、観ないでか！

　屋敷のライブラリーで、クリスと一緒に観戦していたヴィヴィの中では、

（結弦君は絶対に金メダルでしょ？　成美ちゃんとマービンは、う～ん……銅あたりで。シブシブズは金か銀！）

　そう予想をつけていたのだが。

　終わってみれば、

羽生　結弦

　男子シングル：３位

本郷　理花

　女子シングル：４位　

棚橋　成美　＆　マービン　藤堂

　ペア：２位

マリア　＆　アルフレッド渋谷

　アイスダンス：３位

と、予想が外れた。

　特に、羽生（はぶ）に関して――。

　前半の４回転トウループは、着氷で手を付き、

　後半の３回転アクセル＋３回転トウループでは、１本目が両足着氷、２本目がダウングレード。
　
　最後の３回転ルッツも、彼にしては珍しく、エッジエラーが着いていた。

　そして何よりも、画面を通して観るその表情は、疲労困憊のものだった。