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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章                 

(ヴィヴィ、まだ、19歳なんですけど……?)

 内心首を捻りながらも、ヴィヴィはへらっと笑う。

「まだ引退したくないです~。出来ればその4年後も頑張りたいので、そうイジメないで下さい……」

 「4年後でも、まだ23歳ですよ?」と、逆にリポーターに突っ込むヴィヴィに、尋ねた彼らも「それもそうですね」と笑っていたのだった。






 10月28日(金)。

 14:50~ ペア・スケーティング SP。

 16:25~ 男子シングル SP

 19:15~ 女子シングル SP

 各カテゴリーに参戦する選手は、最大10名の為、試合スケジュールは非常にタイト。

 なので今回、ヴィヴィはクリスのリンクサイドには立てなかった。

(いつも思うんだけど……。なんで、女子シングルの試合のほうが、後なんだろ……)

 ペアやアイスダンスは、試合によってスケジュールが違うのだが、シングルは何故か、男子の試合が先のことがほとんど。

 よってクリスはいつも、自分の結果が出た後に、妹のリンクサイドに立てるのだが、ヴィヴィはその反対。

(いつの日か、「自分の試合、終わった~♡」と解放された気分で、クリスの応援したい……)

 叶わぬ夢を抱きつつ、ヴィヴィは余裕を持ってSP首位に立ったのだった。






 10月29日(土)。

 昼から始まった試合。

 ペアの棚橋 & マービン組は、初戦のスケート・アメリカに続き 見事2位に輝き。

 グランプリ・シリーズ第2戦目にして、ファイナルへの切符にほぼ手が届く位置に着いた。
 
 16:00から始まった男子シングルでは、大方の予想通り、全く危なげない滑りでクリスが金に輝いた。

 20:30。

 宮城県 積水ハイム スーパーアリーナでは、女子シングル最終グループ、最終滑走者がリンク上にいた。

『10番、篠宮ヴィクトリアさん、日本。No.10 The represented Japan,Victoria Shinomiya 』

 リンクサイドにいたヴィヴィは、ジュリアンとクリスににっこり頷くと、声援に対して両腕を上げながらリンクへと駆けて行く。

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