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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章
11月14日(日)。
シャルル・ド・ゴール空港を23:25に発った飛行機は、15日(月)の18:20に羽田へと到着した。
金メダルを手に帰国した双子を、各社のメディアが取り囲む。
幾つもの質問に笑顔で答えながら、「12月頭のグランプリ・ファイナルでどんな演技をしたいか?」という問いに、ヴィヴィは余裕の微笑みで口を開いた。
「自分の成すべき事を成すだけです。それがきっと、周りの期待に応えられる結果へと、結び付く筈だから――」
その1週間後。
遠く離れたカナダでは、グランプリ・シリーズ第5戦のスケート・カナダを制した羽生(はぶ) 結弦が、FPのキス アンド クライで満足そうに笑っていた。
実はその日、ヴィヴィはある場所にいて、生放送でそれを確認する事は無かったのだが、
後でクリスに見せて貰った動画でしっかり確認し、弾ける笑みを浮かべた。
『クリス、知子、ヴィヴィ、マリア、アルフレッド、え~……成美、マービン! それに佳菜子、龍樹! 本当にほんとうに、ありがとう――っ!!』
そう、テレビカメラに向かって、満面の笑顔で叫び、
彼らしい――礼儀正しく頭を下げた、羽生の姿を。