この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章
「ふうん。じゃあ、ヴィヴィ。やっぱり生まれた時から、お兄ちゃんを恋愛対象に見てたんだね」
そう能天気に結論付けたヴィヴィを、抱擁を緩めた匠海が覗き込んでくる。
19歳の今現在まで、ヴィヴィは本当に匠海以外に男性の魅力を感じた事が無かった。
兄しか見てこなかったし、兄しか目に入らなかったし、兄しか欲しくなかった。
「だな」
短くそう言って微笑む匠海に、ヴィヴィはくしゃりとはにかむ。
「うふふ。お兄ちゃん、だ~~い好き♡」
薄い胸も腹も腰も、隙間なくぴったりして。
そして互いの心も、ひとつになっていると感じられる。
「大好き……」
再度そう囁いたヴィヴィを、匠海はいつまでも撫でてあやしてくれたのだった。
21時をまわった頃。
2階の薄暗い寝室には、静寂が降りていた。
キングサイズのベッドに寝そべった匠海の上、ヴィヴィはくたりとその上半身を突っ伏していた。
2人分の体液で汚れたそこは、まだ繋がったままで。
2週間ぶりのセックス。
互いにゆっくり長く愛し合いたくて、甘い余韻を引きずったまま、しばしの休憩さえも愉しい。
匠海の厚い胸の上で、ふにゃりと緩みきった表情を浮かべていると、
「ヴィクトリアは、指先まで綺麗だな……」
そう囁いた兄に、右手を取られた。
「……うふふ」
「なんだ?」
突然含み笑いを零す妹に、匠海は面白そうにその小さな顔を覗き込む。
「ん……。ヴィヴィのオオカミさんが、ヴィヴィの指、舐めてるの」
右手の人差し指を舐め上げたり、口に含んでちゅっと音を立てて吸ったり。
なんか、そんな匠海も可愛らしくて、ついつい頬が緩んでしまう。
「オオカミ……? ああ、そうだったな」
「覚えてる?」
少し疑わしそうに尋ねたヴィヴィ。
「もちろん。俺はカバが良かったのに……」
「いやっ お兄ちゃんは、ヴィヴィのオオカミさんだもんっ」
格好良くて、肉食で、孤高の存在って感じ――うん、ぴったりだ。
「じゃあ、ヴィクトリアを骨までしゃぶって、喰い尽くさないと」
にやりと悪そうに嗤う匠海に、ヴィヴィは少し不服そうに「違うよ」と突っ込む。
「ん?」
「骨の髄まで――だよ?」
白い歯を覗かせ、してやったりと笑う。