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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章                 

「ふっ そうだった。お前には敵わない」

 そう笑った匠海は、繋がったままの腰を支えながら、上に乗せた妹の躰をシーツの上へと降ろした。

 今度は兄が動いて抱いてくれる。

 その期待を込め、覆いかぶさっている匠海を上目使いに見つめると、また右手が取られた。

「……え……、や……っ!?」

 細い悲鳴を上げたヴィヴィ。

「ここ、何か判る?」

 上から覗き込んでくる兄の言う “ここ” とは、今まさに、自分の右人差し指が触れているところで。

「……~~っ わ、分かんないっ」

 ぷいと顔を背けた妹の首筋に、匠海は唇を寄せながら苦笑する。

「ふ。恥ずかしがり屋だな」

 兄の嬉しそうな囁きは、ヴィヴィの耳には届いていなかった。

 指の腹を押し返すのは、小さな小さな突起。

 常より充血して固くなったそれが、匠海に掴まれた自分の手で擦られていて――

「やだやだっ こんな……の、ぃや……っ」

「駄目。今日はヴィクトリアの綺麗な指先が、ここを可愛がるんだよ」

 妹の必死の抵抗を、匠海はただの羞恥から来るものだと思ったらしい。

 しかし、

「やだよぉっ やだぁ~~っ」

 そう繰り返すヴィヴィの声音が、泣き声そのものである事に気付いた匠海は、すぐにその手を止めた。

 小さな顔に宿るのは、恐怖に怯えた表情。

 ヴィヴィは、自分の生殖器を自身で触れることに、恐怖を覚えていた。

 何故なら――

「しょうがない。手伝いましょう」

 泣き出す一歩手前の妹の様子に、匠海は広い肩を竦め、細い指先の隣に自分のそれを揃える。

「んん……っ それ、好きっ 一緒に、するの……っ」

 先ほど迄のおろおろした細い声が、途端に甘ったるいものに変わる。

 お兄ちゃんと一緒だったら、怖くないの。

 お兄ちゃんの指と一緒だったら、何だって気持ちいいの。

「ああっ ヴィクトリア、凄く締まって……っ」

「……っ お、にぃ、ちゃ……、んの……っ」

 ぐぐと硬度を増した兄のものに、シーツの上の背が弓なりにしなる。

 絶え間なく転がされる肉芽への刺激は、ただただ兄を喰い絞め貪る。

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