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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章
12月に入ると、双子は大学の勉強を熟しつつも、頭の中の殆どはスケートで占められていた。
何とか顔を出していた、東大スケート部の部練にも参加出来なくなったし、
バレエのレッスンも、続けることが難しくなった。
グランプリ・シリーズ2戦を勝ち抜いて手にした、グランプリ・ファイナルの切符。
そして、2月に控える五輪への切符を手にするための、全日本選手権。
一時も気を抜く事が出来ない試合が、双子の前に立ちはだかっていた。
12月7日(水)。
17:20羽田空港 発、18:10北京首都国際空港 着、の飛行機で現地入りした双子は、入国審査を終えた途端、各国のメディアに取り囲まれた。
日本はもちろん、ロシアのメディアが多く、また、アメリカ、カナダの報道も駆け付けていた。
日本だけでも10社以上なので、囲まれた双子から見ると、人の山、山……。
頭とカメラの数が途轍もなくて、ちょっとぽかんとしてしまう。
それもこれも、明日から始まるグランプリ・ファイナルの出場者に対する、注目度の高さからくる。
アメリカ・日本・中国・フランス・カナダ・ロシア――その6か国で行われた、グランプリ・シリーズ。
それぞれから勝ち上がってきた上位6名は、そのままミュンヘン五輪の最終滑走グループになる――と見られているからだ。
獲得ポイント数順に並べると、
① 篠宮 ヴィクトリア(19・日本)
NHK杯、フランス杯 優勝
② ヴィヴィアン・リー(19・USA)
スケート・アメリカ 優勝、フランス杯 2位
③ 宮平 知子(24・日本)
中国杯 優勝
③ マリア・ソココワ(21・ロシア)
ロシア杯 優勝
③ ガブリエル・ドールマン(23・カナダ)
スケート・カナダ 優勝
③ アンネ・パゴリラヤ(23・ロシア)
NHK杯・ロシア杯 2位
この上位6名がファイナリストとして、中国・北京にて戦うこととなった。