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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第111章                 

 16:15から始まった、試合のトリを飾る――女子シングル FP。

 最終グループなのでゆっくり会場入りしたヴィヴィは、空きスペースでアップを始めた。

 今大会の放送局の可愛らしい女子アナが、少し離れたところでこちらを伺いながら中継を繋いでいる。

 それが視界に入るものの、iPodでFPの『ジゼル』を流しているので、その声は入っては来ないし、

 更にヴィヴィの小さな頭の中では、全然関係ない事を考えていた。

(う~~ん。やっぱりジゼルって、かなりのおバカさんか、超天然少女だよねえ?)

 花占いで「好き♡ 嫌い……、好き♡ ~~っ!? ああ、このまま占うと “嫌い” になっちゃうっ!!」とショックを受けて、本気で凹むところや。

 占い途中で放り捨てたマーガレットを、貴族のアルブレヒトに花びらを1枚千切って渡され「あっ やっぱり “好き♡” で合ってたんだ♡」と簡単に騙されるところや。

 貴族の婚約者バチルドのドレスの裾に勝手に触れて、うっとり自分の腕に乗せて見惚れるところも。

(それに、ジゼルって、本当に男を見る目……無い……)

 アルブレヒトの裏切りで、ジゼルは発狂し亡くなるが、

 その直後の彼は、彼女を抱き締めてその早過ぎる死を嘆くよりも先に、

 恋敵の村人ヒラリオンに「ほら見ろ! お前が殺したんだ、お前がいらぬ事を言うから!」と責任を擦り付ける始末。

 もちろん事情を察した村人全員から「しら~」と白い目で見られ、悔しそうに城へ逃げ帰ってしまう。

(その点、ヴィヴィの恋人は……むふふ♡)

 そう心の中で惚気たヴィヴィ。

 母親の直感で感じ取ったのか、4本のマーガレットを継いだ花冠を乗せた頭に、ゴツンと拳を振り落した。

「集中するっ!!」

「ひ……、酷いです! 試合前の教え子の頭、叩くなんて……」

 両手で頭を押さえ恨めしそうに睨んでくる娘を、ジュリアンはまた「はっ」と鼻で笑ったのだった。






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